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余録

コロナ禍によるロックダウン…

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 コロナ禍によるロックダウン(都市封鎖)で、世界中の人々が手にとった仏作家カミュの「ペスト」である。ペストの流行で封鎖された都市を舞台に不(ふ)条(じょう)理(り)な現実を生きる人間のモラルを問いかけたこの小説だ▲罪のない子も苦しみながら死んでいく理不尽(りふじん)な惨禍(さんか)である。その中で医師の主人公らは信仰や大義を振りかざすことなく、自らの責務を誠実に果たすことで人間同士の連帯を生み出していく。コロナ禍での医療従事者もそうであろう▲「私に人間の倫理と義務を教えてくれたのはスポーツだ」。そのカミュが高校時代にサッカーをしていたことについて語った言葉である。本もない貧しい家に育ち、スポーツを通して助け合いや勇気を体にしみこませたカミュだった▲疫病の不条理はスポーツに打ち込んできた今日の高校生の夢も奪い去った。春のセンバツに続き、夏の甲子園も戦後初の中止となった。先のインターハイ中止と合わせ、目指されたプレーの舞台が次々に失われる高校スポーツである▲甲子園を目指す高校生には、ほんの4カ月前には夢にも思わなかった春夏の大会中止だろう。感染の勢いが収まりつつある今、各地では3年生のためにも練習の成果を発揮してもらう独自の地方大会開催の可能性を探ることになろう▲なぜこんな時に……不条理に言葉を失う選手のみなさんには、どうかその思いを含めた高校でのスポーツ体験のすべてを記憶に刻んでもらいたい。いつか、先のカミュの言葉を思い起こす日もあるだろう。

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