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科学の森

サケの背骨に刻まれた「履歴」 「同位体比」で回遊ルート探る

窒素同位体比で探るサケの回遊ルート

 大海原を回遊し、生まれた河川に戻ってくるという生態で知られるサケ。実際にはどんなルートをたどっているのか。発信器や野外観察だけでは困難な追跡に、海洋ごとに異なる物質の「同位体比」と、それらがサケの体に残す履歴を活用した研究が進んでいる。

 北海道や東北の河川で生まれたサケは、川の流れに乗って海へ下り、約4年かけて大海原を巡りながら成長する。オホーツク海や北太平洋を経て、太平洋最北部のベーリング海、アラスカ湾などで過ごした後、生まれた河川に戻るとされる。これまでも各地での漁獲調査や標識放流、発信器による短期間の追跡がされ、謎に満ちた回遊生活の解明が進められてきた。しかし、データ収集の難しさやコストの問題もあり、稚魚から成魚になるまで長期にわたる追跡は困難だった。そこで注目された新しい手法が「同位体比」の利用だ。

 同位体とは、炭素や酸素など同じ種類の元素の中に存在する、重さ(質量数)が異なる原子のことだ。原子の構成物質のうち、性質を表す「陽子」の数は同じだが「中性子」の数が違う。あらゆる元素は、光合成や食物連鎖によりさまざまに形を変えて地球上の物質循環に乗っているため、同じ元素でも生物や環境の違いによって同位体の存在割合が異なる。この存在割合が、元素ごとに定めた標準物質と比べてどれほど違うかを比率で示した…

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