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スダチ、近江牛、クロマグロ…地域ブランド産地がピンチ 需要急減で値下がり

勝浦漁港には立派なクロマグロが多数水揚げされるが今はピンチだ。写真は過去の水揚げの様子=和歌山県那智勝浦町で2017年1月13日、神門稔撮影

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 新型コロナウイルスの影響で、地域ブランドも苦境に立たされている。料亭や和食店、旅館などの休業や営業時間短縮が長引き、外出自粛要請もあり需要が激減。全国で緊急事態宣言は解除されたが価格は下がったままで、関係者は頭を抱える。

高級品ほど値崩れ

ハウス栽培のスダチを収穫し、「他のスダチ農家もみんな苦しんでいる」と話す久禮羽哲さん=徳島県阿南市で2020年5月21日午前8時53分、国本ようこ撮影

 刺し身や焼き魚に添えるスダチ。高級料亭などで使われるハウス栽培は緊急事態宣言発令後、大きく値崩れした。100%近い国内シェアを誇る徳島県のJAアグリあなん(同県阿南市)によると、料亭などに卸す「赤秀(あかしゅう)」と呼ばれる規格の下落が特に顕著という。濃い緑色の果皮に色むらもない赤秀は、1年前の2019年4月20日には1キロあたり2041円だったが、今年4月20日には同761円に。さらに飲食店の休業や営業短縮が広がった5月には、650円を割り込んだ。色むらや果皮に傷のある規格の価格は前年比約5割で、高級品ほど値崩れしている。

 温室で約500本のスダチを育てる農家の久禮羽(くれは)哲(さとし)さん(58)=同県阿南市新野町=は「親の代から40年続けているが、ここまで極端な値崩れは初めて。ハウスを加温する重油代くらいしか残らず、貯金を取り崩して栽培を続けるしかない」とうつむく。

 日本3大和牛に数えられる滋賀県の近江牛も、食肉加工会社「滋賀食肉市場」(同県近江八幡市)によるとA5ランクの一頭売りは1キロ2200円程度となり、通常の3割以上の下落となっている。

400年の歴史も「価格戻らぬ」

日本3大和牛に数えられる近江牛。写真は2019年の審査会の様子=滋賀県日野町で2019年10月4日午前9時38分、蓮見新也撮影

 約400年の歴史を誇り、近年はインバウンド(訪日外国人)の人気も高いが、近江牛の肥育、卸、小売りを手掛ける「味の山善」篠原店(同市)の田中正直さん(47)は「先行きが見通せない点で、牛海綿状脳症(BSE)問題の時よりきつい。飲食店が再開されるだけでなく、訪日外国人が自由に旅行できるようにならないと価格は戻らないだろう」と途方に暮れる。

 ブランド牛の存続自体にも関わる。近江牛は約10カ月の子牛を購入後、約30カ月まで肥育して出荷。そのため2、3年後を見越して頭数を確保するが、田中さんは「売り上げが減って余裕がなく、今後も見通せない現状では、子牛を購入しない牧場も出てくるのではないか」と推測する。同社にも約250頭いるが、田中さんは「供給が少ない時期ができれば、ブランド力が一気に落ちる恐れがある」とし、近江牛を守るため、銀行から融資を受けて子牛の購入を続けるという。

水産物売り上げ半減

 高級魚も下落している。春は「桜鯛(だい)」、秋は「紅葉(もみじ)鯛」といわれ、季節ごとの美味で知られる明石鯛を取り扱う兵庫県明石市の明石浦漁業協同組合によると、明石鯛などは東京・豊洲市場に出荷しても値が付かないため、他の市場に出荷してしのぐが、例年の半値程度。同市の仲卸業でも、明石鯛を含めた水産物の売り上げが前年同期比で半分くらいとなっている。

 マグロも同様だ。生鮮マグロの水揚げ量が国内有数の勝浦漁港(和歌山県那智勝浦町)の「勝浦魚商協同組合」代表理事組合長で仲買業者「木下水産物」の木下勝之社長(55)によると、価格は例年の2、3割減。クロマグロが特に下落し、通常は1匹(200キロ)約160万円だが、今年は100万円。木下社長は「品質は一切変わっていないのに」と嘆いた。

静岡産のメロン=静岡県温室農業協同組合提供

 高級メロンの代名詞にもなっている静岡県の「クラウンメロン」も、「県温室農業協同組合」(同県袋井市)の鈴木和雄組合長(70)によると、5月現在、価格が3、4割ほど下がっているという。温室栽培で費用もかさむため、鈴木組合長は「8月までこの状態が続くと、生産を続けられない農家も出てくる」と悲鳴を上げた。【国本ようこ、園部仁史、浜本年弘】

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