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社説

コロナ下の中国全人代 「強国路線」を見直す時だ

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 新型コロナウイルスの感染拡大で延期された中国の全国人民代表大会(全人代)が開幕した。李克強首相は政府活動報告でコロナ対策での成果を強調し、経済回復に力を入れる方針を示した。

 しかし、コロナ禍では市民の声を押しつぶす強権政治の問題点が浮き彫りになり、米中関係も悪化した。国内の人権状況を改善し、国際協調を進めることが必要だ。

 李氏は「感染はいまなお収束していない」との認識を示し、毎年発表されている経済成長率目標を示さなかった。経済回復は容易ではないと自覚しているのだろう。

 積極的な財政支出と内需拡大が処方箋だが、中国単独での対応には限界がある。李氏は「感染症対策で世界との協力を強化し、世界経済の安定を促進する」と述べた。正しい方向性だ。

 感染初期に医師の警告が当局に封じ込まれるなど中国の対応には問題があった。世界保健機関(WHO)総会の決議で国際調査の実施が決まった。早期に応じることが信頼回復の道だ。

 習近平政権は「科学技術強国」「宇宙強国」「海洋強国」などを目標に掲げてきたが、自国の強国化だけを目指すような姿勢は「自国第一主義」に映っている。

 米国は強国化を支える産業政策「中国製造2025」に反発し、第5世代通信技術(5G)での中国優位を崩そうとしてきた。

 米国では大統領選を前に感染者が世界最多となり、中国批判がエスカレートしている。中国に責任を押しつけるような対応には問題があるが、中国も「強国路線」を見直し、冷静に対立の解消に努めるべきだろう。

 成長の見通しがつかない中でも国防費は6・6%増加した。コロナ禍でも続く南シナ海や東シナ海での軍事活動と合わせ、日本など周辺国の懸念は消えない。

 全人代が直接、香港での国家分裂活動などを禁止する国家安全法制を審議すると決めたことは「1国2制度」を揺るがす事態だ。香港デモの再燃や米国との対立激化につながるのではないか。

 コロナ禍を機に各国で中国に依存しすぎたサプライチェーン(供給網)を見直そうとする動きが出ている。どこまで「脱中国化」が進むかは中国の対応次第だ。

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