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松原隆一郎・評 『食の歴史』=ジャック・アタリ・著、林昌宏・訳

『食の歴史 人類はこれまで何を食べてきたのか』

 (プレジデント社・2970円)

 音楽・医学から時間・愛・死・地政学・テクノロジー、そして海まで。数え切れないテーマと膨大としか言いようのない知識で人間社会の未来を占ってきた碩学(せきがく)が、「食」を軸に過去を振り返り、進むべき道を訴える野心作。いわば胃袋が語る人類の通史である。

 「この密接な、宇宙的規模とさえ言える人間と食との関係は、実は猿人からホモ・サピエンスが漸進的に出現したときから始まった。この関係は、言語の使用から火の利用まで、人類のおもな急激な変化の源泉になった。……人間と食とのこうした関係からは、都市、帝国、国家の権力掌握の過程も広く説明できる。歴史と地政学は、何と言っても食の歴史なのだ」

 「はじめに」でこう著者が述べる本書は、コンパクトな一冊に壮大なる社会史も展開している。食にかんする世界史的な出来事を次々に述べる文体だから、一見しただけでは豆知識の羅列に見えるかもしれない。たとえば乾燥パスタはイタリア生まれではなく、旅するアラブ商人が携行していたものがシチリア経由でイタリアに普及した。また医学博士ケロッグが神経を刺激せず性欲を減退させる目的で食べ物から味気を抜き取って開発したの…

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