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社説

芸能人の政治的発言 個人の意見阻まぬ社会に

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 今国会での成立が見送られた検察庁法改正案では、芸能人による抗議のツイッターでの広がりが注目を集めた。

 俳優の小泉今日子さんや井浦新さん、音楽家の大友良英さんらが次々と声を上げた。類似の投稿は数百万にのぼった。

 影響力のある芸能人からの発信が、若者や政治に関心の低い人たちも引きつけ、法案の成立断念につながった。

 一方、政治的な発言をした芸能人へのバッシングが目に付いた。

 政治に口を出す資格はないというような誹謗(ひぼう)中傷が相次いだ。ファンの間でもめ、結局、投稿を削除した歌手もいた。

 芸能人の政治的発言に対する批判は、これまでにもあった。

 しかし、主体的に意見を表明することは、市民社会の一員として当然の権利だ。妨げられることがあってはならない。

 これまで日本では、芸能人が政治的発言をすることに消極的だった。ドラマやCMのスポンサーへの配慮も理由という。

 背景には、政治的な発言をするのをためらう日本の社会風土もあるのではないか。

 米国では、影響力のある俳優やミュージシャンが政治的発言をし、特定政治家の支持を表明してきた。アカデミー賞授賞式で政権批判が飛び交うこともある。

 米映画界では冷戦初期、共産主義者を排除するレッドパージの中、リストアップされた映画人が次々と追放された。権力の介入を許した苦い歴史を繰り返してはならないとの反省がある。

 今回、日本の芸能人らが積極的に発信したのは、コロナ禍と無関係ではないだろう。外出自粛が求められ、じっくりとニュースに接し、社会や政治の矛盾にあらためて向き合ったということも影響したようだ。

 本来、芸能は社会を映す鏡であり、社会とのつながりは欠くことができない。

 戦時中、芸能は戦意高揚の国策推進に利用された。知名度のある芸能人は発信力が高いだけに、政治利用される危険性もある。

 受け手の一人一人が、情報を判断することが求められる。新しく生まれた潮流を、自由な議論を深めるきっかけにしていきたい。

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