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書の美 重要美術品 三首懐紙 瑞々しく輝く流祖の書=島谷弘幸

 「雪中見松」「夜寒重衾」「山影写水」の歌題で詠じた「雪に今朝なびくすがたも/よのつねの岩木にはあらぬ/松のこゝろよ」以下3首の自詠の和歌を執筆した和歌懐紙である。その個性的な書風から、室町時代の能書として著名な後柏原天皇(1464~1526年)の宸筆(しんぴつ)と明らかである。室町時代の芸能は道徳と観念と結び付いて、型に嵌(は)めることに重きが置かれた。その結果、書の世界には流祖の書風を尊重した書流が乱立し、個性に乏しいと説かれる。この後柏原天皇の書風は、後柏原院流と呼ばれ、書流系譜によれば100人を超える追随者があり、盛行したことが知られる。

 ところで、この後柏原天皇の書が個性に乏しく、魅力的で無いと思えるかどうか。私には個性があり、魅力的な書に見える。伝統的な和様の書を踏襲するが、1行目の「哥(歌)」の最終画などは左に湾曲させ、左に力強く押し出すように筆を進めてから撥(は)ねあげている。それぞれの歌題も、曲線の美しさを強調しながら、筆の弾力を巧みに使っている。筆管はおおむね右に傾いているが、時折筆の穂を絞り上げるように直筆となり、太…

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