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社説

自衛隊に宇宙部隊発足 軍事空間にせぬ歯止めを

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 自衛隊で宇宙を専門にする初めての部隊「宇宙作戦隊」が発足した。宇宙ごみや他国の人工衛星が日本の人工衛星に衝突しないように監視するのが主な任務だ。

 人工衛星は、全地球測位システム(GPS)や気象観測、防災無線など幅広い分野で日常生活を支えている。この基盤が損なわれれば、影響は広範囲に及ぶ。

 作戦隊は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や米軍と情報を共有しながら監視活動を行う。人員を拡充し、将来的には防衛を目的に他国の衛星の通信を電磁波で妨害する技術も研究するという。

 活動がさらに拡大されれば、日本が掲げる「平和利用」の原則を逸脱する可能性が出てくる。

 日本は1969年に宇宙利用を「平和目的に限る」とする決議を国会で採択し、科学技術・研究開発を中心に進めてきた。これを2008年に制定された宇宙基本法で転換した。「平和目的」の解釈を「非軍事」から「非侵略」に変え、防衛利用を認めた。

 宇宙空間では、米国と中国、ロシアが覇権争いをしており、緊張が高まっている。他国部隊の動向把握やミサイル発射の探知など、現代の軍事活動は人工衛星に大きく依存しているからだ。

 中国は、07年に地上からのミサイルで自国の衛星を破壊する実験に成功した。他国の衛星を捕獲・破壊する「キラー衛星」などの開発も進めているという。米国は宇宙空間を「新たな戦闘領域」と位置づけ、昨年には陸海空軍などとは別に「宇宙軍」を創設した。

 安倍晋三首相は「航空宇宙自衛隊への進化も夢物語ではない」と語り、作戦隊の活動拡大に前のめりだ。

 しかし、憲法や専守防衛という基本政策との整合性を巡る議論は不十分である。日本の衛星が攻撃された時に何ができ、何ができないかという整理もこれからだ。

 河野太郎防衛相は、米国などの衛星が攻撃された場合、集団的自衛権行使の対象になり得るとの認識を示している。法的な整理と歯止めの議論が急務だ。

 宇宙空間に関する国際的なルールが十分整備されていないのも問題だ。平和利用の原則に基づき、軍事化にブレーキをかける仕組み作りを日本は促していくべきだ。

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