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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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「一に褒められ二に憎まれ三に惚れられ四に風邪ひく」…

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 「一に褒(ほ)められ二に憎まれ三に惚(ほ)れられ四に風邪ひく」。くしゃみの数の占いだが、一つのくしゃみでも周囲を緊張させたこの7週間だった。この手のことわざも「新しい日常」では思い出す人もいなくなるのか▲風邪のことわざには「夏風邪は犬もひかぬ」というのもある。夏に風邪をひくのはまったくつまらないことだとの意味で、犬が猿のバリエーションもある。実際は夏にはやる風邪もあるが、季節外れを無粋(ぶすい)と切り捨てた昔の人である▲コロナウイルスは以前から風邪の病原体として知られ、新型コロナはその変種という。コロナの風邪は高温多湿の夏は少ないため、新型コロナも同じでないかとの期待もある。だが熱帯でも感染拡大が伝えられ、空頼(そらだの)みかもしれない▲緊急事態宣言が7週間ぶりに全面解除され、首都圏でも自粛要請の出ていた各種の営業再開が始まる。だがいまだワクチンも特効薬もなく、感染抑止のブレーキと経済のアクセルをあんばいしながらの毎日が「新しい日常」となろう▲先日も触れたように、過去のスペイン風邪と呼ばれたインフルエンザでは春の小流行後に秋冬の大流行が来た。今度も第2波に即応できる医療・検査体制を整備しておくことが、経済的なダメージを最小限にするためにも欠かせまい▲「弱みにつけ込む風邪の神」とは弱り目にたたり目、悪いことは重なるということわざである。感染の収束で一息つけた今こそ、これから来てもおかしくない最悪の事態への備えを固めておく時である。

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