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文芸時評

5月 日本語の共同体 誤解とすれ違いの世界に=田中和生

多和田葉子氏

 現在の日本の政治では、国会での虚偽答弁や公文書の偽造としか考えられない出来事がつづいている。内閣総理大臣が主催する「桜を見る会」に現総理の支援関係者が多く参加していた問題が国会で追及され、今年の一月には総理による「募ってはいるが募集はしていない」という答弁が出てきたことを思い出すと、正しく意思疎通できる日本語の共同体など、とうに滅びているのかもしれないと感じる。

 文学的には誰かを批判すれば済む話ではなく、それは日本語をつかうひとりひとりが生み出した状況だと考えざるをえないが、嘘(うそ)を基盤にしている現実を相対化するフィクションが成立しにくい時代である。そんな現実のあり方を鋭く批評していると読めるのが、多和田葉子の最新長(ちょう)篇(へん)『星に仄(ほの)めかされて』(講談社)である。二〇一八年刊行の長篇『地球にちりばめられて』の続編に当たるが、その近未…

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