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特集ワイド

この国はどこへ コロナの時代に 作家 星野智幸さん 「自粛警察」の悪夢

東京都目黒区で、北山夏帆撮影

 緊急事態宣言下では、営業を続ける店に対し、度を過ぎた表現で休業を求める張り紙をするなどの「自粛警察」が横行した。そんな報道にふれた時、作家の星野智幸さん(54)は「あたかも自作の世界に閉じ込められたような奇妙な悪夢感を覚えた」と振り返る。星野さんは5年前、小説「呪文」で、寂れた商店街に突如現れた若きリーダーと「正義」を掲げる自警団が街を変貌させていく物語を書いた。今回の新型コロナウイルス禍で、悪夢が現実に、小説は「予言の書」のようになった。

 コロナがもたらしたのは、未知のウイルスへの恐怖や不安感にとどまらない。感染者やその家族への中傷、医療従事者への偏見など、隠されていた排外主義を白日の下にさらした。営業を続ける施設に対する嫌がらせが相次ぎ、「死ね」「潰れろ」といった暴力的なメッセージも目立つようになった。「呪文」のストーリーさながらに――。

 小説が発表された2015年は、近隣国や在日外国人へのヘイトスピーチが頻発した時期と重なる。星野さんは寛容さが失われつつある社会に心を痛め、「悪夢のような未来を避けられたら」と願って執筆した。「極端な形を取った、おぞましい物語を見せることで『そうはなりたくない』と読む人に思わせることを期待した。コロナという病がそれを現実化してしまうなど想像もしていませんでしたが、こうなってみると、意外というよりは『やはり、そうなってしまったか』という感覚の方が強い。この国はヘイトを許す土壌を、長い時間をかけてつくってきましたから」

 その土壌づくりを後押ししたのは、政治の不作為、と星野さんは指摘する。「政治権力者が強権を振りかざし、多くの住民の声を無視し、恫喝(どうかつ)することで、わが意のままに物事を動かす。それが安倍晋三政権の7年半でした。権限を持つ者から持たざる者への一方通行の組織運営。それが今や行政、会社、学校現場など日本の隅々にまで波及しています」

 そうした政治手法を支えているのが…

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