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詩の橋を渡って

「詩の礫」で知られる福島市在住の詩人、和合亮一さんの連載です。

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詩の橋を渡って

生の喜び 真っすぐに=和合亮一(詩人)

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5月

東京の空はいつもこまぎれ

それでもお前は 生きてる喜びつげる

この小さな空は私だけの空

 世界を襲った新型コロナウイルスの猛威により、社会や命の意味をすぐ隣にあるものとして考えざるを得なくなった気がする。不要不急の外出は避けて、人と交わらない努力をして暮らしていった日々。「3密」や「ステイホーム」「巣ごもり」などのキーワードが頻出してそれに示されるかのようにして、お互いに警戒しながらじっと耐える日々を送った。緊急事態宣言が全面的に解除となっても、油断は許されない。

 家の中でずっと本を開いていた。読書に没頭することで支えられる何かを追い求めたいと思った。思えば九年前の東日本大震災の折に、原発が爆発した後で放射能の心配からやはり外出は出来なかったが、その時と同じような静けさと寂しさを強く感じた。人間が恋しいという感情に似ている。ブッシュ孝子の詩集『暗やみの中で一人枕をぬらす夜は』(新泉社)を読み、毎日に緊張し続けていた心が揺すぶられた思いがした。

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