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社説

京アニ放火容疑者逮捕 悲嘆に応える全容解明を

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 京都アニメーションで2019年7月に起きた放火殺人事件で、青葉真司容疑者(42)が逮捕された。全身にやけどを負い入院していたが、取り調べが可能なまでに回復したと判断された。

 36人が殺害され33人が重軽傷を負った無差別殺傷事件は、発生から10カ月余りがたち、捜査が本格的に動き出した。

 犠牲者の多くは20代から30代の若者だった。アニメづくりに情熱を傾けていた職場で惨事に巻き込まれ、未来が突然、閉ざされた。

 大事な肉親を失った悲しみから、事件を思い出したくない気持ちを持つ遺族がいるのは当然だ。ただ、なぜ容疑者がこれほどまでの事件を起こしたかを語らないままでは、心の整理がつかない人もいるだろう。

 真相の解明を求める声は京アニのファンからも上がる。

 京アニは軽音楽部の女子高生を描いた「けいおん!」など、若者の日常生活をリアルに伝え、幅広い層から支持された。緻密な取材や質の高い作画技術は、国内外で高く評価されてきた。

 「京都アニメーションは世界で最も才能のあるアニメーターと夢を追う人々がいる所」と米アップル社の首脳はツイッターで表現した。さらに「日本だけの悲劇ではない」と損失の大きさを嘆いた。

 事件の衝撃は世界に広がり、遺族や被害者に渡される義援金は33億円を超えた。

 青葉容疑者は「ガソリンを使えば多くの人を殺害できると思った」と容疑を認めている。これまでの任意聴取では、自作の小説を盗まれたから火を付けたと供述している。京アニ側は否定しており、動機の追及が今後の捜査の焦点になる。

 事件の背景にも留意する必要がある。

 青葉容疑者はリーマン・ショックの影響で08年に派遣契約を打ち切られた経験がある。事件直前には隣人に因縁をつけるなど、自暴自棄になっていたという。

 こうした境遇が事件に影響したかは分からない。ただ、背景も含めた全体像に迫ることで、得られる教訓もあるのではないか。

 それが、犠牲者や遺族の無念の思いに応えていくことにつながるはずだ。

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