メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

匿名の刃~SNS暴力考

死者が出ないと動かないのか 厳罰化と加害者の情報開示を スマイリーキクチさん

自らの経験について語るスマイリーキクチさん=高知市内で2018年12月11日午後2時7分、松原由佳撮影

 フジテレビの人気番組「テラスハウス」に出演していたプロレス選手、木村花さん(22)が5月23日に急死した。木村さんは番組での言動を巡り、SNS上で誹謗(ひぼう)中傷を受けていたことにひどく悩んでいたとされる。SNS上の匿名による暴力はなぜなくならないのか。悲しい結果を再び招かないために何が必要なのか。幅広い関係者と一緒に真剣に考えたい。初回は、ネット上で「殺人関与」などのデマに長年苦しめられた経験があるお笑い芸人、スマイリーキクチさん(48)。芸能活動のかたわら、ネット上の人権侵害について各地で講演を続け、「言葉は、やいばにもなる」と訴える。【宇多川はるか/統合デジタル取材センター】

 ――木村さんの一報が入った時、どんな気持ちになりましたか。

 ◆ネット上の誹謗中傷への悩みがあったと聞いて、一人で抱え込んでしまったのかもしれない、と思いました。言葉が刃物のようになって心に突き刺さり、命を絶つまで彼女を追い詰めてしまったのかもしれない、と。本当に誹謗中傷が原因だったとしたら、こういう事態が起きないように活動してきた者として、非常に残念で悔しいです。

 彼女のインスタグラムやツイッターには、誹謗中傷だけでなく、応援メッセージもたくさんありますよね。でも、自分も経験したから分かるのですが、「スープに入ってきたハエ」と同じなんです。目の前にスープが出された時、そこにハエが入ってしまった。スープの面積の方が大きいけれど、小さなハエが視界に入って気になってしまう。「ではハエを見なければいい」と言われても、無理な話です。

 彼女は、言葉の暴力に耐えきれなかったのかもしれない。僕のところには、面識のない芸能人の方々もネット上の中傷について相談に来ます。何か救う手立てはなかったのか、という気持ちもあります。

 ――木村さんの死がきっかけでネット上の個人攻撃について議論がわき、与野党が規制や発信者の情報開示の簡素化に向けた検討を表明しました。

 ◆彼女の死を受け、ネットのありかたをみんなで考えなければならないと思います。法的にも厳罰化したり発信者の情報開示を簡素化したりしないと、被害者の泣き寝入りは続くでしょう。

 ネット上では「たった一人が亡くなるだけで法律が変わるのはおかしい」という意見もあります。でも、亡くなるだけ、ではなくて…

この記事は有料記事です。

残り2924文字(全文3892文字)

宇多川はるか

2007年入社。仙台支局で東日本大震災、横浜支局で相模原障害者施設殺傷事件を取材。2018年から統合デジタル取材センター。小児がん、保育、虐待など子どもを巡るテーマ、障害者福祉、性暴力、ハラスメントの問題を継続取材。

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 首相官邸ネット発信「中の人」は電通マン 前任者も 政権のSNS戦略と深いかかわり

  2. 鹿児島、新たに30人の感染確認 28人がクラスター発生の飲食店客

  3. ジャニーズJr.の福士申樹さんが新型コロナ感染

  4. ORICON NEWS 綾瀬はるか「世界を食べる」写真集最新作はリスボン ビーチで見せた“優しい異世界”

  5. 二階氏サイド、自民の「習主席来日中止」決議案に猛反発 「待った」の可能性も

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです