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新型コロナウイルスは現代に生きる人たちの営みを停滞させている。これまでも世界は度重なる感染症の恐怖に脅かされ、社会は変容を余儀なくされてきた。「感染症対人類の世界史」(ポプラ新書)の共著者で共にジャーナリストの池上彰さん(69)と増田ユリヤさん(55)に、人間はどう感染症と向き合ってきたのかを聞いた。
戦争に影響、歴史変えた 差別や偏見、より顕在化
――ノーベル文学賞作家、アルベール・カミュの小説「ペスト」(1947年)が増刷され、ベストセラーになりました。小説から過去の感染症を学びたいと考える人が多いようです。
池上 この小説が翻訳された当時は遠い国の架空の物語と受け止められましたが、現在では「明日は我が身」と考えているのでしょう。人類の歴史は、感染症との闘いの繰り返し。新型コロナの世界的流行で閉塞(へいそく)感が広がり、昔はどう対応していたのか知りたいのだと思います。
――増田さんは私立高校の社会科講師として歴史を教えていた経験があるそうですね。
増田 はい。世界の歴史では、疫病が社会を変えたことが何度もありました。例えば14世紀に欧州でペストが大流行し、農奴制が変化しました。農民の人口が減って賃金や立場が上がり、それまでの序列や階層が崩れたのです。キリスト教を信じていてもペストには打ち勝てないという現実に直面し、宗教改革の動きにもつ…
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