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「テラハ」出演者の急死 守る仕組みが不十分では

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 あまりにも痛ましい出来事だ。

 共同生活を送る男女の日常や恋愛模様を見せるリアリティー番組「テラスハウス」に出演していたプロレスラーの木村花さんが急死した。

 番組内での他の出演者とのやりとりについて、ネット交流サイト(SNS)上で「早く消えて」などと誹謗(ひぼう)中傷する匿名の投稿が集中した。自殺をうかがわせる遺書が自宅で見つかったという。

 番組はフジテレビで放送され、動画配信サービス「ネットフリックス」で世界各国に配信されていた。フジテレビは番組の制作と放送の打ち切りを決めた。

 リアリティー番組は、予測できない展開が視聴者を引きつけ、世界でも人気のコンテンツだ。「テラスハウス」も台本がないと宣伝していた。

 しかし、実名で生身の自分をさらけ出すことになる。番組内で注目が集まれば、SNSなどで個人攻撃の的になる危険性もあった。

 木村さんはSNSで悩みを訴えていた。匿名での心ない言葉に、全人格が否定された思いがしたのではないか。

 英米でもリアリティー番組出演者の自殺が問題になっている。

 フジテレビは、スタッフが出演者と連絡を取り合っていたと説明する。だが、精神面での支えや、ネット上の嫌がらせから守る仕組みは十分だったのか。検証し、視聴者に説明する責任がある。

 ネット上のいじめや誹謗中傷の問題は深刻化している。総務省に昨年度寄せられた相談は、5198件に上った。2010年度の約4倍だ。

 悪意ある投稿を抑止するため、高市早苗総務相は情報発信者を特定しやすくする制度改正に取り組む意向を示した。ソーシャルメディアの事業者団体も、嫌がらせをする人は利用停止にするなど、対応の強化に乗り出す。

 人権を侵害するような行き過ぎた投稿は規制が必要だ。一方で、「表現の自由」や「通信の秘密」は保障されなければならない。この機に実効性ある対策について、議論を深めるべきだ。

 他人を傷つけるような行為は、実社会ではもちろん、ネット空間でも許されない。投稿する前に手を止めて考えてほしい。

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