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コロナ禍があぶり出す「やりがい搾取」 最前線に立つ若き医師らの切実な証言

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写真はイメージ=ゲッティ
写真はイメージ=ゲッティ

 新型コロナウイルス感染拡大の陰で、医療や福祉の現場での「やりがい搾取」とも言える労働実態を告発する声が上がっている。上下関係や使命感を盾に十分な給与が支払われないまま過重労働を強いられるなど、以前からあった働き方の問題が、コロナ禍であぶり出された格好だ。【宇多川はるか・岡大介/統合デジタル取材センター】

前線にかり出される「無給医」たち

 大学病院には、実習や研究などの名目で診療にあたり、適切な給与の全額または大半が支払われていない大学院生の医師がいる。こうした医師は「無給医」と呼ばれ、これまでも問題視されてきた。新型コロナ対応で病院の診療態勢が逼迫(ひっぱく)する中、この問題が改めて表面化している。

 東京都内のある大学病院。院生として在籍する男性医師によると、この病院では4月中旬から、新型コロナ感染者の診療に当たる「コロナ病棟」に院生が動員されるようになった。院生のほぼ全員が診療に入り、この病棟の医師のうち、3割強を院生が占めているという。

 朝8時ごろから夜7~9時ごろまで病棟に入り、フルタイムで働いても最低賃金ぎりぎりの時給1100円。危険手当も出ない。院生の多くは外部病院でのアルバイト代で生活費や授業料をまかなってきたが、感染リスクからアルバイトにも入れなくなった。男性は「『無給医』が増え、アルバイト代があって成り立っていた生活が破綻している」と証言する。

 資材も足りていない。マスクは1日1枚が配られるものの、ガウンは使い捨てのものを使い回している。30代で家庭がある院生もいるが、感染拡大を防ぐため病院が借り上げたホテルに泊まり、家にも帰れない。こうした状態で8月までシフトが組まれ、「心身共に限界状態の仲間たちが少なくない」と男性は話す。

 「使い勝手のいい駒として使われているのです」。男性はそう憤る一方、「それを分かりつつ招集を…

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