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的川博士の銀河教室

的川博士の銀河教室 599 最後の「こうのとり」打ち上げ

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H2Bも有終の美

 さる5月21日、鹿児島県の種子島(たねがしま)宇宙センターから打ち上げられた宇宙航空研究開発機構(JAXA)の無人補給機「こうのとり」9号機=写真1=は、25日に国際宇宙ステーション(ISS)に到着(とうちゃく)、ロボットアームでキャッチし、26日朝、ドッキングを完了(かんりょう)しました。これで「こうのとり」は9機すべてが完璧(かんぺき)な成功をおさめ、見事に日本の責任を100%果たしました。H2Bロケット最後の発射だったためでしょう、移動発射台に「感謝」と「希望」の言葉が掲(かか)げられました(写真2)。

 今回は、ISSに滞在(たいざい)する宇宙飛行士たちの食料や水、実験機器などはもちろん、6号機から4回に分けて計画的に運んできた新型リチウムイオン・バッテリーや窒素(ちっそ)タンクのほか、日本実験棟(とう)「きぼう」で利用する機器など、合計6.2トンの物資がISSに運(はこ)び込(こ)まれました。とりわけ「こうのとり」の運ぶ生鮮(せいせん)食品は、「生鮮」では世界的に定評のある日本のものだけに、宇宙飛行士たちを喜ばせています。

 実験装置のうち、SCEM(固体燃焼実験装置、写真3)は、宇宙での火災安全性の向上を目的とする「固体材料の燃焼現象に対する重力の影響(えいきょう)」を探る「FLAREプロジェクト」の一環(いっかん)です。自然対流のない微小重力(びしょうじゅうりょく)環境(かんきょう)のもとで、固体材料が燃えるとどのように炎(ほのお)が広がるかを、さまざまな固体材料を用いて明らかにするものです。面白そうですね。

 「きぼう」で今後実施(じっし)される科学実験の中でも、再生医療(さいせいいりょう)に応用できる立体培養(ばいよう)技術や、細胞(さいぼう)レベルで重力を感じるメカニズムの解明は、生命科学の中心テーマとして注目されています。今回搭載(とうさい)されたライフサイエンス実験用の顕微鏡(けんびきょう)システムCOSMIC(ライブイメージングシステム)も、大いに期待が持てそうです。

 民間の企画(きかく)では、地球にいる一般(いっぱん)の人が街中からISS船内のカメラをリアルタイムで直接動かして、あたかも自分が「きぼう」にいるように、宇宙や地球を眺(なが)めることを可能にする「スペース・アバター」のカメラシステムは、世界初の試みで素晴らしいですね。

 JAXAは現在、「こうのとり」の後継(こうけい)機として、新型の補給機「HTV-X」の開発を進めています。「HTV-X」は、「こうのとり」が蓄積(ちくせき)してきた技術や知見を生かし、より能力の高い補給機として今後のISSへの補給を引(ひ)き継(つ)ぎます。さらには、国際協力で開発を進める月周回ステーション「ゲートウエー」への補給も担うべく、国際間の調整を進めています。


的川泰宣(まとがわやすのり)さん

 長らく日本の宇宙開発の最前線で活躍(かつやく)してきた「宇宙博士」。現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)の名誉(めいよ)教授。1942年生まれ。


日本宇宙少年団(YAC)

 年齢・性別問わず、宇宙に興味があればだれでも団員になれます。 http://www.yac−j.or.jp


 「的川博士の銀河教室」は、宇宙開発の歴史や宇宙に関する最新ニュースについて、的川泰宣(まとがわやすのり)さんが解説するコーナー。毎日小学生新聞で2008年10月から連載(れんさい)開始。カットのイラストは漫画家(まんがか)の松本零士(まつもとれいじ)さん。

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