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社説

マイナンバーカード なぜ役立たないか猛省を

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 新型コロナウイルス対策の国民への一律10万円給付を巡り、マイナンバーカードによるオンライン申請で混乱が生じている。

 給付に支障を来しかねないとして、この方法での受け付けを取りやめる自治体も現れた。システムの信頼に関わる深刻な事態だ。

 マイナンバーは、番号で行政が国民を識別する制度だ。政府は今回、郵送に加え、マイナンバーカードによる申請も採用した。

 ところが、暗証番号を忘れたり、窓口サイトへの入力ミスでロックされたりして、申請者が相談のため役所に殺到するケースが続出した。システムに負荷がかかり、作業が停滞する問題も起きた。そもそも申請にカードのほか、読み取り機材や暗証番号が必要なことを知らない人も多かった。

 窓口サイトでは、二重申請を防止できないという問題点も露呈した。自治体は二重申請や入力ミスの点検、金融機関の口座などを照合する負担に直面している。結局、多くの自治体で、入金までかなりの日数を要しそうだ。

 マイナンバーカードの普及率は15%程度と伸び悩んでいる。トラブルはある程度予想できたが、カード普及の好機とみて見切り発車し、墓穴を掘ったのではないか。

 まずは混乱収拾のため、国が手立てを尽くすのは当然だ。

 政府・与党は今後の同様の給付に備え、法改正も検討している。今回申請されたデータや口座情報については自治体が保存できるようにしたり、窓口サイトの段階で二重申請をはねたりするなどの対策は必要だろう。

 政府にはこれに加え、マイナンバーとすべての口座の「ひも付け」を義務化することで、給付の迅速化を図ろうとする動きがある。だが、資産把握やプライバシー保護との兼ね合いから十分に議論を重ねる必要がある。

 マイナンバーカードがいまだに普及しないのは利便性の低さに加え、個人情報保護への不安が根強いためだ。どさくさまぎれに管理強化を急ぐべきではあるまい。

 来春からカードは健康保険証代わりにもなる。利便性を向上させつつ、個人情報を保護する仕組みの整備にも着実に取り組むべきだ。信用がないまま、国民に利用を押しつけてはならない。

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