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コロナ患者受け入れ、億単位の収入減 政府支援「全く不足」 聖路加国際病院長

聖路加国際病院の福井次矢院長=東京都中央区で2020年5月18日午後3時、斎藤文太郎撮影

 最前線で新型コロナウイルスの感染患者の治療にあたった医療機関が、外来・入院患者の減少や不要不急の手術の休止などにより収入減にあえいでいる。病院団体の調査では、患者を受け入れた病院の4月の医業収入は前年同月に比べ、平均12・4%減少した。「受け入れをやめたい」という病院もある中、東京都中央区の聖路加国際病院は1月下旬から5月下旬までに感染疑いも含め234人の入院患者に対応。一部病棟を空け、人間ドックなども休止した影響で、億単位の減収になっているという。福井次矢院長にこれまでの対応や今後の課題を聞いた。【川崎桂吾、斎藤文太郎】

 ――患者の受け入れ経緯を教えてください。

 ◆最初の患者は国内2例目に感染確認された中国からの旅行者で、入院は1月22日でした。来日後に症状が出て、数カ所の医療機関を経て来院しました。それからしばらくは入院患者は1日1~2人で推移していました。このままならそんなに問題はないだろう、と思っていました。

 ――その後、患者数は大幅に増えました。どのように対応しましたか。

 ◆3月に入って患者が急増しました。3月25日、より多くの患者受け入れを想定し、6床の集中治療室(ICU)をコロナ専用にしました。回復した患者や軽症患者は一般病床で受け入れますので、一部の病棟を空けて新型コロナ専用に約30床用意しました。外来でも、感染疑いの患者専用のルートをつくり、他の患者と接触しないようにしました。

 ――院内では他に、どのような点を工夫しましたか。

 ◆新型コロナは一つの臓器に限らず、さまざまな症状を呈します。例えば(呼吸器の症状だけでなく)血管が詰まる患者もいます。そうした場合、担当診療科ごとに、自分のところで対応できる症状や病態だけ治療する状況になりやすいので、そうならないようにするため、あらゆる関係部署の職員が出席する会議を毎日2回開いて情報を共有し、治療方針を統一しました。会議で決まった事柄を基に、新型コロナ患者の診療ガイドもすぐに作りました。新しい知見が出れば内容を改定し、今は数十ページになっています。院内だけでなく、希望があれば他病院でも使ってもらいました。また、ICUのナースステーションに感染防護用のカーテンを設置したり、医師が患者と直接対面しなくて済むようにタブレット端末を40台購入したりもしました。他の病院から有用な情報が得られたらなるべく早く取り入れるようにしました。

 ――他の医療機関では院内感染も起き、外来の休止なども迫られました。

 ◆ありがたいことに聖路加では起きませんでした。大勢のスタッフがおり、全員が毎日、マスクや手袋、防護服などを理想的な手順で脱ぎ着しないといけない。医師も看護師も疲弊する中、いつ院内感染が起こっても仕方ないと覚悟していました。米国の大学院で公衆衛生を学んだ感染症専門家の看護師による指導も行き届きました。

 ――患者数の増加ぶりは当初の想定通りでしたか。

 ◆海外の気の毒な状況を知るにつれ、日本でももっと増えると覚悟していました。これくらいで抑えられるとは思っていませんでした。欧米諸国と比べた教育格差や経済格差の小ささやマスクへの嫌悪感の無さ、家の中で靴を脱ぐことなど、日本社会に特有のさまざまな行動様式が良い方向に影響したと思います。また、日本人は社会のため、集団のための行動をとることに抵抗が少ないようにも思います。こうした点が合わさった結果ではないでしょうか。

 ――ICUはだいぶ逼迫(ひっぱく)した状態だったのですか。

 ◆発症から短期間で重症化するのが新型コロナの特徴の一つで、1日であっという間に悪化する人もい…

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