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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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ケインズと同時代の経済学者として並び称される…

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 ケインズと同時代の経済学者として並び称される米国のフランク・ナイトは、企業経営に重要な不確実性の理論で知られる。サイコロのようにどの目が出るか分からないが、確率は分かっているものなら備えられる。真の不確実性は何が起きるか確率自体が分からないもので不安ばかり募る▲コロナ下の企業も同じ状況に陥っているのだろう。今月が発表のピークだった東証1部上場企業の決算は赤字が続出しただけでなく、今年度の見通しを示せない社が6割にも上った。例年は1割弱だから極めて異例だ▲緊急事態宣言は解除されたが、感染の第2波がいつどれだけ広がるか分からない。企業の幹部からは「かつて経験したことがないリスク」「先行き次第で決算は1000億円以上も変わる」と厳しい見方が相次いだ▲まして中小企業は深刻だ。日本商工会議所の三村明夫会頭が「多くの企業が廃業しようかと心が折れてしまうぎりぎりのところにいる」と訴えたほどである▲企業が危うくなると、働く人の生活も脅かされる。安全網を担う政府の責任は重い。だが1カ月も前に成立した予算の企業向け給付金はいまだに行き渡らない。安倍晋三首相が口にする「スピード感が大切」がむなしく響く▲ナイトが理論を発表したのは2度の世界大戦の間だ。不確実性が高かった時代で世界恐慌にも見舞われた。そこで国による救済という画期的な処方箋を描いたのがケインズである。恐慌以来とされるコロナ禍も英知を集めて乗り切りたい。

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