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中満泉さんから「地球を変えるあなたへ」

(13) コロナ危機 皆が安全でなければ

バングラデシュの貧困地区で、新型コロナウイルスの予防について伝え、衛生用具を配る国連開発計画の担当者=提供・UNDP Bangladesh/Fahad Kaize.

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みな安全あんぜんでなければ

 前回ぜんかい、このらんでみなさんにおいしてからまだ3かげつなのに、新型しんがたコロナウイルスのパンデミック(世界せかいてきだい流行りゅうこう)で、世界せかいまったことなるところになってしまいました。みなさんのまわりでも、外出がいしゅつ登校とうこうができないなど、以前いぜん想像そうぞうもできなかったことがたくさんきているとおもいます。

 わたしのいるアメリカのニューヨークでは、3がつまつ感染者かんせんしゃ急増きゅうぞうはじめ、国連こくれん職員しょくいん自宅じたく仕事しごとをするようになりました。4がつもっと大変たいへん時期じきには、市内しない死者ししゃ毎日まいにち800にんちかく。わたし友人ゆうじん同僚どうりょうにも感染かんせんしたり、家族かぞくくしたりしたひとがいます。ようやく死者ししゃ毎日まいにち100にん以下いかになってきました。わたしはこの危機ききなか家族かぞくといられることに感謝かんしゃし、感染かんせんして闘病とうびょうするひとたち、いのちすくうために奮闘ふんとうする医療いりょう関係者かんけいしゃ社会しゃかい生活せいかつささえるエッセンシャルワーカーとばれるひとたちのことをおもい、「連帯れんたい」という言葉ことばおもみをかんがえながららしています。

 2ねんまえくなったわたしちちは「だれでも一生いっしょうのうちいち本当ほんとう大変たいへん危機きき経験けいけんするものだ」とっていました。ちちにとっては第二次世界大戦だいにじせかいたいせんがそうだったわけですが、コロナ危機ききは、わたしやみなさんの人生じんせいにとってのそのときだとおもいます。

 人類じんるい歴史れきしも、パンデミックによって影響えいきょうけてきました。14せいのペスト、16世紀せいき天然痘てんねんとう、19世紀せいきから20世紀せいきのコレラ、そして1918ねんのスペイン風邪かぜ(インフルエンザ)など。歴史れきしおおきくうごいた背景はいけいには、パンデミックがあったとわれるほどです。

かれみちにいる

 国連こくれんはコロナ危機ききえるための活動かつどうつづけています。今後こんご感染拡大かんせんかくだい心配しんぱいされる途上国とじょうこくのコロナ対策たいさく援助えんじょしたり、危機きき対応たいおうできるよう政策せいさく提言ていげんしたり……。コロナ危機きき公衆衛生こうしゅうえいせい医療いりょうだけでなく、経済けいざい社会しゃかい人権じんけん地球環境ちきゅうかんきょうなどあらゆる分野ぶんや影響えいきょうがあるので、政策せいさく提言ていげん多岐たきにわたります。

 同時どうじに、わたしたちは「コロナ」の復興ふっこうをどうすべきか、その途上とじょう国連こくれんたすべき役割やくわりとはなにかを幹部かんぶかい議論ぎろんはじめています。先日せんじつ、その議論ぎろん参加さんかしてくれた世界せかいてき歴史学者れきしがくしゃ、ユバル・ノア・ハラリさんの言葉ことばつよ印象いんしょうのこっています。「コロナ世界せかいがどのようなものになるのかはだれにもわからない。わかっているのは、世界せかいのありかたが、わたしたちの現在げんざいこうすうげつ行動こうどうにかかっている、ということだ。わたしたちは歴史れきしじょう分岐点ぶんきてんかれみち)にいるのだろう」

 コロナ危機ききわたしたちは、世界せかいがいかに「つながっている」か、そしてじつはいかにもろかったのかたりにすることになりました。わたしたちが本当ほんとう歴史れきし分岐点ぶんきてんにいるとしたら、危機ききをきっかけに、復興ふっこう世界せかいをよりいものにしなければなりません。もっと生活せいかつこまひとたちに配慮はいりょしながら経済けいざい再開さいかいし、格差かくさ解消かいしょうし、あたらしいはたらかた教育きょういく可能性かのうせいひろげる。行政ぎょうせいサービスの効率化こうりつかにもなるデジタルいそがなくてはなりません。そして地球温暖化ちきゅうおんだんか悪化あっかさせない経済けいざい復興ふっこうでなければなりません。温暖化おんだんかによって氷河ひょうが凍土とうどけることで、未知みちのウイルスやばいきん出現しゅつげんすると科学者かがくしゃ警告けいこくしています。

「ありがとう」を

 わたしたちは、そしてみなさんは、いまなにをすべきでしょうか。ちちは「危機ききときこそ、そのひと人格じんかくえる」といました。大変たいへんときほど、冷静れいせい寛容かんように、まわりのひと配慮はいりょし、謙虚けんきょまな行動こうどうしましょう。ウイルスはただしくおそれ、ひとにはおもいやりをち、「ありがとう」といましょう。将来しょうらい、みなさんが大人おとなになってコロナ危機ききのことをおもときに、ほこれるように。わたしいま、とても大切たいせつなことをまな機会きかいだとおもっています。

 京都大学きょうとだいがく山中伸弥やまなかしんや教授きょうじゅは、コロナとのたたかいは「ながいマラソン」のようなものだ、とおっしゃっています。このマラソンを、みんなでたすってはしきたいです。

 感染症かんせんしょうとのたたかいほど、社会しゃかい構成こうせいするすべてのひと、そして国境こっきょうえた団結だんけつ連帯れんたい必要ひつようなものはありません。のこされたひとがコミュニティーのなかにいるかぎり、そして世界せかいのどこかにいるかぎり、ウイルスはまたもどってくるでしょう。みな安全あんぜんでなければ、だれ安全あんぜんではないのです。


中満なかみついずみさん[国連こくれん事務次長じむじちょう

 1963ねんまれ。アメリカの大学院だいがくいんて89ねん国連こくれんり。難民なんみん保護ほご国連平和維持活動こくれんへいわいじかつどう核兵器禁止条約かくへいききんしじょうやく採択さいたくなどのためにはたらいてきた。著書ちょしょ児童書じどうしょ危機きき現場げんばつ」など。

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