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特集ワイド

走れ銚電 コロナ撃退、自虐パワー

5月中旬、「チーバくん」のバルーン人形が座る車内は閑散としていた=梅村直承撮影

 新型コロナウイルスの感染拡大で、“日本一のエンタメ鉄道”を目指す千葉県銚子市のローカル鉄道「銚子電鉄」が、またも過去最大級のピンチに見舞われている。度重なる経営危機に、名物「ぬれ煎餅」の販売や“お家芸”の自虐ネタを生かした商品開発で立ち向かってきたが、今度は頼みの綱の観光客が激減するという未曽有の危機。だが、こんな時でもユーモアを忘れず、銚電は今日も走る。

 政府の「緊急事態宣言」が首都圏などで続いていた5月中旬。JR線と接続する銚子駅から、関東最東端の景勝地・犬吠埼方面の外川駅へ向かう銚子電鉄に乗り込むと、車内のただならぬ空気に身震いがした。県のマスコットキャラクター「チーバくん」のバルーン人形などが置かれた華やかな雰囲気の2両編成車両に、乗客の姿がほとんど見当たらないのだ。

 銚電の本社があるのは、隣の仲ノ町駅。近くのヤマサ醬油の工場から大豆の香りが漂う木造平屋建ての駅舎で、竹本勝紀社長(58)が深いため息をついた。「外出の自粛や観光施設の休業で、外からのお客さんが姿を消しました。学校の休校で通学の利用もなくなり、実物大の鉄道模型を走らせているような状態です。これまでに直面した経営危機もかなり深刻でしたが、今回は創業以来最悪クラスの苦境と言えるでしょう」

 銚電の乗客は7割ほどが観光客で占められる。政府が全国の小中高校などに臨時休校を要請した2月下旬ごろから客が減り始め、本来は繁忙期となる大型連休前の4月の乗客数は例年より9割以上落ち込んだ。「通常の乗客数は閑散期を含む1日平均で約1000人ですが、4月は100人ほど。切符の売り上げがわずか4480円という日もありました」。1日の運行本数を従来の24往復から17往復に減らしたが、「人が集中して3密(密閉、密集、密接)になることはありませんでした」。

 危機的状況は運賃収入減のみにとどまらない。銚電は年間約5億円の売り上げのうち、ぬれ煎餅販売などの副業が8割近くを占める。観光客が激減すると、生命線である土産物販売が大打撃を受けてしまうのだ。

 とりわけピンチに陥ったのは、経営状況が「まずい」という自虐を込めて2018年に発売し、これまでに約130万本を売り上げたスナック菓子「まずい棒」の販売だ。昨秋の行楽シーズン前に大量に仕入れた商品が、直後の台風被害や新型コロナの影響で売れ残り、1700袋(1袋15本入り)の在庫に賞味期限が迫る事態となった。

 しかし、ここからが銚電の本領発揮である。<天災、疫病…想定外の出来事で『まずい棒』が在庫の山…本当にまずい。ポチっと一袋お願いします(涙)takemoto>。4月14日、悲痛な叫びを公式ツイッターに投稿すると…

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