「捜査さえできない」米軍機事故に近づけない日本の当局 国際的に特異な地位協定の壁
毎日新聞
2020/6/3 08:30(最終更新 6/3 08:30)
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「なぜ市長である自分が近づけないのか」。2016年12月、沖縄県名護市沖で米軍普天間飛行場(宜野湾市)所属の新型輸送機オスプレイが不時着、大破する事故が起きた。翌朝現場に駆けつけた当時の市長、稲嶺進さん(74)の声が海岸に響いた。「ここは米軍基地ではない。私には市民の安全を守る責任がある」。事態を把握しようとする行政トップの行く手を規制線と警察官が阻み、その先で粛々と機体の回収を進める米軍。米軍機事故の現場で何が起きているのか――。
「基地の外で起きたことに日本が何もできない。そんな理不尽な話ない」
機体は約60世帯120人が暮らす安部(あぶ)集落の約800メートル先で大破した。事故現場周辺の海は住民が漁を営み、隣の集落で育った稲嶺さんにとっても幼い頃から貝を取るなどして親しんだ生活の場所だった。12年から普天間飛行場に配備され、墜落などの危険性が指摘されていたオスプレイだが、心配は現実のものとなった。
「…
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