新型コロナウイルスの影響で、緊急事態宣言の解除以降も、一部の業種では休業が続く。気になるのが休業中の手当だ。労働基準法では、休業手当の支払いを定めているが、現実には支払われないケースや極めて低額のケースもある。金額は「平均賃金の6割以上」と規定されているが、実際に算出すると「月収の4割ほど」にしかならないとの嘆きが聞こえてくる。一体、どういうことなのか。【木許はるみ/統合デジタル取材センター】
「1シフト減に伴い、1000円の休業手当」。東京都内の弁当工場に勤務するアルバイト男性(49)は3月上旬、社内で休業を知らせる張り紙を見つけた。男性は毎月18日勤務し、手取りは12万円。会社の規定に沿って、1カ月休業すると男性の休業手当はたった1万8000円にしかならない。
「あまりに低すぎるのではないか」。職場では不満の声が相次いだ。男性の同僚が、個人加入の労働組合を通じて、会社と団体交渉した結果、3月末、会社側が姿勢を転換。社内に「休業手当は平均賃金の6割」と張り出された。これは労働基準法に定められた最低基準だ。
12万円の6割であれば、7万2000円だが、会社が計算して男性に提示した明細によると、約4割相当の約4万3000円にしかならなかった。男性は工場勤務のほか、宅配のアルバイトもして生計を立てているが、大幅な収入減は痛手だ。
その後、男性は同僚とともに、労働組合を通じて会社側と団体交渉。当初、会社側は難色を示したが、組合の要望を受け入れ、雇用調整助成金を活用する形で平均賃金の10割を支給することを決めた。
しかし、ここまで事態が改善した事例は珍しく、低い休業手当に甘んじているケースが多いとみられる。個人加入の労働組合「首都圏青年ユニオン」によると、5月末までに新型コロナ関連で寄せられた相談約600件のうち6割が休業手当関連。なかでも目立つのが「平均賃金の6割以上」と規定されているのに、実際には「4割程度しか支給されない」との訴えだという。
この記事は有料記事です。
残り1127文字(全文1979文字)
毎時01分更新
乳幼児健診を受けていない子どもが保護者らの虐待を受けて死亡…
世界各国・地域に独自の文化がある。情報発信を担う駐日大使や…
新型コロナウイルスの患者用病床の「供給源」として、民間病院…