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年金改革法が成立 コロナに配慮した適用を

 厚生年金の加入対象者が広がることになった。支え手を増やし、年金財政を安定させるための年金制度改革関連法が成立した。

 週20~30時間働くパートなどの非正規労働者の場合、現在は従業員数が「501人以上」の企業に勤めている人だけが加入することになっている。この従業員数の条件を引き下げ、「51人以上」の企業まで対象を広げる。

 これにより、新たに65万人が厚生年金に加入する見通しだ。2022年10月から2段階に分けて拡大する。

 非正規労働者らが加入している国民年金は、将来の給付水準が大幅に低下すると政府は試算している。厚生年金に入れば、年金額が増える。

 保険料を自分で全額支払っている人であれば、勤め先との折半に変わり負担が軽くなる。非正規労働者の老後の安心につながり、就職氷河期世代への恩恵も大きい。

 ただ、同じ条件の短時間労働者でありながら勤め先の規模の違いで厚生年金に加入できなければ、老後の所得保障に差が出てしまう。将来的には「50人以下」の企業への拡大が検討課題だ。

 適用にあたっては、新型コロナウイルスの感染が全国に拡大し、中小企業の経営を圧迫していることに注意が必要だ。

 パート労働者の比重が高い宿泊・飲食サービス業は、感染拡大の打撃が大きい業界でもある。施行までの2年間でどこまで業績が回復しているか見通せない。保険料負担に耐えきれない事業者が出ることも懸念される。

 政府は減収となった事業者への支援策を打ち出している。だが、新型コロナによる不況は、08年のリーマン・ショックを上回ると見込まれている。企業の経営状況に留意しなければならない。

 年金の受給開始時期の選択肢も広がる。今は60~70歳の間で選べるが、75歳まで遅らせることができるようになる。受け取り開始が遅いほど毎月の年金額が増える。老後の生活費を十分確保できないとの指摘がある中、働く高齢者をさらに増やす狙いがある。

 少子高齢化は、状況が改善する見通しが立たない。「老後の安心」に向けた年金制度の見直しが引き続き求められる。

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