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動画、張り紙で「営業やめろ」…そこに「正義」はあるのか? 安田浩一さんと考える「自粛警察」論

安田浩一 ジャーナリスト=東京都千代田区で2020年2月10日、内藤絵美撮影

 東にパチンコ店があれば「営業をやめろ」と怒鳴り込み、西に居酒屋があれば「店を閉めろ」と張り紙をする。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、そんな「自粛警察」と呼ばれる人々のことは読者もご存じだろう。「行き過ぎた正義」などと解釈されるが、これ、そもそも正義なのか? ジャーナリストの安田浩一さんと考えた。【吉井理記/統合デジタル取材センター】

 4月7日に緊急事態宣言が出てから、国などが「3密」などに該当するとした業種に休業を求めてきたけれど、だれもが従ったわけではない。パチンコ店も、ごく一部が営業を続けた。

 動画投稿サイトには「自粛警察」が撮影したとおぼしき「突撃動画」が今も残っている。投稿する人物は何人かいるが、どれも営業中のパチンコ店に拡声器を持って乗り込み、店や客に「営業をやめろ」「パチンコ中毒者は帰れ」などと、大声で叫ぶのは同じである。客の容姿などについて、暴言や罵声を浴びせるものまである。

 要するに、ひどい光景なのだが、動画のコメント欄には「正義」という2文字が躍っていた。「あなたは正義だ」「暴言には同意しないが、やっていることは正しい」「正義が暴走気味だが、支持します」

 「……本当にそうなのでしょうか。『自粛警察』を語る時、確かに『行き過ぎた正義』とか『正義の暴走』などといった言葉が使われがちです。でも、本当にそこに正義はあるのでしょうか」

 これまで在日コリアンや外国人労働者など、少数者を取り巻く問題を追い続けてきた安田さんは腕組みしつつ、自問自答するようにつぶやいた。

 「正義」と絡めて語られることが多い「自粛警察」をどう考えるか。「在日コリアンには特権がある」「外国人犯罪から日本人を守れ」などと、「正義」を偽装した少数者排除の風潮と対峙(たいじ)してきた安田さんに聞いてみたかった。

 腕組みしたまま、安田さんが続ける。「過去、戦争や人権侵害は正義の名の下に行われてきました。僕もメディアも、常に正義という言葉を疑ってきた。『正義の暴走』とか『…

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吉井理記

1975年東京生まれ。西日本新聞社を経て2004年入社。憲法・平和問題、永田町の小ネタ、政治家と思想、東京の酒場に関心があります。会社では上司に、家では妻と娘と猫にしかられる毎日を、ビールとミステリ、落語、モダンジャズで癒やしています。ジャズは20代のころ「ジャズに詳しい男はモテる」と耳に挟み、聞き始めました。ジャズには少し詳しくなりましたが、モテませんでした。記者なのに人見知り。

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