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時の在りか

「靖国」など日本の戦後をテーマに取材を続けている伊藤智永編集委員が、政治を「座標軸」に鋭く論じます。

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小池都知事再選を危ぶむ=伊藤智永

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=川田雅浩撮影
=川田雅浩撮影

 今月生誕100年の女優・原節子といえば、小津安二郎監督「紀子(のりこ)3部作」(「晩春」1949年、「麦秋」51年、「東京物語」53年)で演じたつつましく朗らかな大和なでしこのイメージが一般的だが、時折見せる暗いまなざしの底知れなさも忘れがたい。強い意志と情念の激しさがのぞいてドキッとさせられる。

 本人は出演当時から、小津映画があまり好きでないとほのめかしている。演じたかったのは、主張を持ち、果敢に行動する自立した女性像だった。小津と対極的な黒沢明監督作品では野獣のマグマが輝く。「わが青春に悔なし」(46年)の反権力的な農村女性リーダー役は、かつて自分を慕い検事として成功した男を雨の中、泥だらけでじっとにらみつける。ドストエフスキー原作「白痴」(51年)の魔性の娼婦(しょうふ)役は、男たちを次々と破滅へ追いやる。

 16歳でナチス肝いりの日独合作映画「新しき土」(37年)の主役に抜てきされ、ゲッベルス宣伝相にも会った。戦意高揚映画に多く出演し、義兄の影響で極右思想団体に出入りしたが、戦後は一転、同じ「清く正しく美しく」でも進歩的民主主義の偶像となり、木下恵介監督「お嬢さん乾杯!」(49年)や今井正監督「青い山脈」(同年)で国民的大女優となる。テレビや舞台に一切出ず、42歳で黙って引退。姿を隠し、5年前人知れ…

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