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学校でのコロナ感染 冷静にリスク見極めたい

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 北九州市の市立小で、新型コロナウイルスによるクラスター(感染者集団)が発生した。

 学校再開後まもなく女児の感染が判明し、同じ教室で授業を受けていた同級生4人もPCR検査で感染が確認された。

 全国で緊急事態宣言が解除され、学校活動が本格化しようとした矢先のクラスター発生である。

 市はこの小学校を臨時休校とし、校内を消毒した。他にも複数の小中学校で感染者が出たが、全市一斉休校とはせず、接触を減らす分散登校に切り替えた。

 各校では、毎朝の検温や机の配置など、文部科学省が定める衛生管理マニュアルを守っていたという。それでも感染者は出た。このまま学校に通わせていいのか、不安に思う保護者もいるだろう。

 だが、多数の子どもが触れあいながら学ぶ学校の環境では、感染リスクをゼロにすることはできない。この感染症のリスクを冷静に見極めることも必要だ。

 これまでの研究で、小児は感染しても大半が軽症で済み、重症化しにくいことが分かっている。せきなどの症状が少ないことから、他人への感染力も抑えられると考えられる。

 北九州市の場合も、感染が判明した児童・生徒のほとんどは無症状だった。学びの機会を確保するためにも、こうした「隠れた」感染が一定程度出ることを念頭に置き、柔軟な対応をすることが求められる。

 日本小児科学会は「ウイルスが直接もたらす影響より、休校による被害の方が大きい」と指摘している。

 運動不足や生活習慣の乱れ、栄養の偏りなどに加えて、友人と長期間会えないことによる抑うつ・不安など、心理面への影響も懸念されるからだ。

 学校では、マスク着用や手洗いなどの基本動作を習慣づけたい。「誰でも感染する」という認識を共有し、感染者いじめを招かない指導も重要だ。

 学校側の取り組みについて保護者に丁寧に説明することや、子どもの体調に関するきめ細かい情報交換も欠かせない。

 健やかな日常を一日も早く取り戻せるよう、学校運営にかかわる大人たちで知恵を絞りたい。

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