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アニマルクライシス

船の往来、資源探査…海の中がうるさくなっている 魚は、クジラは大丈夫か

主な海中の音

 海の中がうるさくなっている。車の交通量増加で騒音が問題となるように、船舶の往来や海底の資源探査が活発化し、発する音が海洋生物に何かしらの影響を与えているとみられる。低減に向けた研究や取り組みは、始まったばかりだ。

 千葉県・館山湾の海底。アナログ放送のテレビ画面が「砂嵐」状態になった時の「ザー、ザー」という音に、「ゴオオオ」という音が混じりはじめ、それがだんだん大きくなっていった。

 「中型の漁船が真上を通過した際は、地下鉄のホームにいるようだった」。3月末、水深約200メートルの海底で音の計測実験をした際の様子を東京海洋大の後藤慎平助教(海洋電子機械工学)は振り返る。通過時に装置が計測した音の強さは100デシベル超。陸上でいえば国土交通省が目安とする「電車のガード下」を超える数値だ。「水中で発せられた音は大気中では聞こえない。でも私たちに聞こえないだけで、海中の音は増えている」と後藤助教は話す。

 音は目に見えないが、光や電波と異なり海中でも遠くまで届きやすい。海洋生物にとっては重要なコミュニケーションツールだ。北極圏と赤道付近を回遊するザトウクジラは、数千キロ離れた個体同士が鳴き声でコミュニケーションを取る。沖でふ化した稚魚や子エビは、海藻などが豊富な浅瀬を目指す際、海辺で発せられる音を頼りにしているとみられる。

 音のやりとりの障害となるのが騒音だ。騒音により音が伝わる距離が半分になれば、伝わる領域は面積で4分の1、体積では8分の1になる。海中では雨音や波打ち際の波しぶきなどの音も伝わるが、スコールが海面に打ち付ける雨音は80デシベルほどなのに対し、船舶の音は90デシベルを優に超える。人工音が自然界の音を上回るケースが増えている。

 海の騒音はどのくらい増えたのか。地球温暖化の影響を調べるために長期間海水温を測ってきた研究の「副産物」で分かってきた。

 音は水温で伝わりやすさが変わるため、海水温の変動の観測に用いられる。米ワシントン大の研究チームが米西海岸で観測した1960年代と2000年代の記録を比較すると…

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