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「椿井文書-日本最大級の偽文書」 /京都

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 (馬部隆弘著 中公新書、990円)

 「定説を覆す」という言い方がある。本書は「定説」そのものをひっくり返し、うその歴史が定説になっていった歴史を明らかにする。しかも1人の人物がせっせと量産した偽書が発端だったというのだから、面白い。

 いや、面白い、なんて軽々しく言ってはいけないかも……。おそらく気が遠くなったのではないかと思うほどたくさんの資料を調べて書かれた労作であり、過去だけでなく現在の歴史学者や郷土史家、市町村史の編さん担当者らを告発する一冊でもある。

 「椿井文書(つばいもんじょ)」とは、現在の木津川市山城町に生まれた椿井政隆(1770~1837)なる人物が、江戸時代後期に偽作した文書の総称という。内容は由緒書、家系図、絵図などと「バラエティに富んで」おり、山城地域はもちろん、近畿一円に数百点が流布。量産当時から疑う人はいたものの、近世以前の古い文書を書き写したという体裁を取ることなどから、“原本”は正しい史料と信じられ、結果として現代まで地域…

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