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コロナ禍で外国人が職を失うケースが相次いでいる。製造業や飲食・宿泊業などで働く人が多く、これらの職場が生産縮小や休業を余儀なくされたためだ。
労働組合や弁護士には、技能実習生らから「解雇された」「休業手当が支払われない」「就職の内定が取り消された」といった相談が寄せられている。
自主退職を強要されたり、十分な説明がないまま労働契約を打ち切られたりする事例もある。外国人も日本人と同様に、労働者の権利は保護される。差別的な扱いは許されない。
外国人労働者が仕事を失うと、日本での在留資格に影響する。出入国在留管理庁は、解雇された人や内定を取り消された人が就職活動できるように、一定期間の在留を許可することにした。
技能実習生については、別の業種への再就職を特例として認める制度を始めた。農業や水産業では入国制限によって3000人以上の技能実習生が来日できず、人手不足が深刻になっている。これらの業種を念頭に置いた措置だ。
ただ、利用は今月初め時点で49人にとどまる。入管庁は求職情報を業界団体などに伝えているものの、十分に機能していない。
これらの施策が、外国人労働者にきちんと伝わっていないとの指摘もある。きめ細かなサポートが欠かせない。
1人一律10万円の給付金などの生活支援は外国人にも適用されるが、手続きが理解しにくいとの声が上がっている。
外国人は言葉の壁があるうえ、地域とのつながりが薄いことも少なくない。国は自治体や関係機関と連携して、分かりやすい情報提供に取り組むべきだ。
職を失って生活に困り、支援団体の施設に身を寄せる人もいる。しかし、こうした草の根の活動だけでは支えきれない。公的支援が確実に届く仕組みが必要である。
2008年のリーマン・ショックで多くの外国人労働者が解雇され、帰国を強いられた。その後、人口減少が進む中で外国人労働者は急増し、昨年10月時点で約166万人に上っている。
経済状況に応じて、外国人を雇用の調整弁とするような社会にしてはならない。