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波のまにまに

「なにわ」の宝、どこへ=戸田栄

 「大学を卒業して社会に出た私が第一にぶつかったものが部落問題であった。そして私はこの問題のただなかに自分の身を置くことによって、ほんとうに人間としての自覚をつくり上げることができたのだと言ってよい」

 社会派小説で日本文学に大きな足跡を残した野間宏に「大阪の思い出」というエッセーがある。作家となる前の1938(昭和13)年、23歳の野間は大阪市役所に入り、社会部(当時)に配属されて被差別部落対策を担当した。この仕事の中で差別の問題に目覚め、人権運動に取り組む人たちと出会ったことが自分を変えたという。

 当時の役所には差別観がはびこっていたと振り返る。それから日本の敗戦、高度経済成長を経ての47年後、1985年のことだが、大阪府、大阪市が公的博物館といっていいほどに支援して開設されたのが、大阪人権博物館の前身施設だった。愛称は当時から「リバティおおさか」で、野間は「このような大きな喜びが、わが手元に運ばれて来るとは、なにわならでは考えられぬこと。この佳(よ)き名が日本に世界に行きわたらんことを」…

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