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「種苗法改正案」は種の海外流出を防ぐのか 東大・鈴木教授の徹底解説

東京大学大学院農学生命科学研究科の鈴木宣弘教授=鈴木教授提供

 「日本の種を守る」ことにつながるのか、それとも--。女優の柴咲コウさんがツイッターで問題提起したことを機に、ネット上で懸念の声が上がり、今国会成立が見送られた種苗法改正案。ブランド農産品種の苗木などを海外に持ち出すことを規制するもので、農林水産省は改正により「優良な品種を持続的に利用してもらえる」と主張する。しかし、「改正案だけでは流出は防げない」と東京大学大学院農学生命科学研究科の鈴木宣弘教授は指摘する。賛成派と反対派の対立も深くなっているが、「海外に日本の種が勝手に取られないようにしようという思いは同じ」と鈴木教授は言う。種苗法改正案は、どのような内容で、何が問題なのか。徹底解説する。【ニュース解説まいもく班】

 --「種苗法改正案」とは?

 鈴木教授 種苗法というのは、まさに種の著作権。新しい種を開発した人が、権利を独占できるというのが、種苗法の法律の精神です。ただ、今までの法律では、農家が扱う場合には、自由に種を取って増殖して、次の年に使ってもいいですよと決められていました。それが今回は、農家であっても登録されている種は勝手に使ってはいけませんよと改正することになったのが今回の改正のポイントです。

 --農作物には「一般品種」と「登録品種」があります。

 鈴木教授 そうです。「一般品種」には、いわゆる在来種などがあります。もうすでにみんなが昔から使っている品種や、登録されていたけれども25年が過ぎて育成者権が切れた品種などがあります。改正案の対象となるのは、「登録品種」ということになります。

 --コメだと「コシヒカリ」や「ひとめぼれ」は一般品種で、「ゆめぴりか」「つや姫」は登録品種。イチゴは、「とちおとめ」は一般品種で、「あまおう」は登録品種。

 鈴木教授 コメだけでもいろいろな品種が細かく分かれているので、細かいところはよく見ないとわからないですね。登録品種は全体の1割ほどしかないので、あまり影響がないという話もありますが、実はコメでいうと栽培の実績がある品種に限ると、登録品種の割合が64%もあります。地域別に見ても、青森県では登録品種が99%を占めていて、北海道では88%。でも宮城県だと15%しかない。地域によって、ずいぶん違います。

 --登録品種は少ないから大丈夫といっても、この地域では登録品種ばかり、ということが起きるのですね。

 鈴木教授 そうです。コメであれば、栽培されているのは登録品種のほうが主流ということになりますし、品種や地域によってもずいぶん違うということです。

 --「日本の農家の品種が海外に流出するのは防がれる」と高く評価する声もある一方で、「海外の大手企業に種子を支配されるのではないか」という懸念の声も上がっている。

 鈴木教授 どちらも「海外に日本の種が勝手に取られないようにしよう」という思いは同じなわけです。例えば、海外に勝手に日本の新品種のブドウ「シャインマスカット」が持ち出されて使われるのを止めようということは重要である。なぜ反対する人がいるのかなという声が一方で聞かれるわけですよね。

 一方の懸念は、例えば種をポケットに入れて持ち出してもなかなかわからないので、種苗法改正案で自家採種を制限しても、その効果は限定的であり、むしろ自家採種に制限をかけてしまうことで、海外のグローバル種子企業が登録品種増やし、日本の農家に種を売ってもうけられるのではないかと。むしろ海外の企業に種を握られてしまい、日本の農家が支配されてしまうということになりかねない。双方の思いは同じなのに、懸念の方向がズレてるということです。

 --流出を防ぐに…

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