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コロナが変える? 美術館の存続モデル 3人の学芸員とZoom座談会

「学芸員Zoom座談会」に参加した(左上から反時計回りに)金沢21世紀美術館の横山由季子さん、兵庫県立美術館の小林公さん、和歌山県立近代美術館の青木加苗さんと、聞き手の清水有香記者

 コロナ禍による国の緊急事態宣言が解除され、各地の美術館が徐々に再開している。ウイルス感染防止に伴う長期休館は、社会教育施設である美術館の存在意義を改めて問う機会にもなった。休館中に現場の学芸員たちは何を考え、今後の展望をどう描くのか。テレビ会議システム「Zoom(ズーム)」上で座談会を開き、兵庫県立美術館の小林公さん、和歌山県立近代美術館の青木加苗さん、金沢21世紀美術館(21美)の横山由季子さんの3人に語り合ってもらった。【清水有香】

 ――休館中、どんな思いで過ごしていましたか?

 和歌山近美・青木 多くの館が作品解説やギャラリートークをオンラインで配信する中、私は7月から始まる巡回展の準備で手が回らず、何かやらなければと思うのに、何もできないというジレンマに苦しんでいました。そんな中、当館の子ども向けプログラムにいつも参加してくれている小学4年生の女の子が再開初日に来館し、「ユーチューブで美術館の楽しさをみんなに伝えたい」と話してくれた。普通に考えれば美術館は来館者に情報を提供する側ですが、この状況で美術館のために何かしようと考えてくれる人がいることがうれしくて、私たちだけが頑張ることではないのだと実感しました。

 兵庫県美・小林 当館はブロックバスター展(大量動員の展覧会)と言われるタイプの「ゴッホ展」や、美術館の50周年を記念する自主企画「超・名品展」、コレクション展などさまざまなタイプの展覧会が影響を受け、美術館のあり方の根本から考えないといけないと個人的には思いました。今の青木さんの話も特徴的ですが、館に関心を寄せてくれる人との関係を再確認できるのか、それを世の中に発信できるのか、という問い直しから始めないと、おそらくこれからの美術館・博物館の存続は難しいのかな、と。

 21美・横山 私は担当の「内藤礼展」の開幕が延期になり、展示スケジュールの調整に追われながら過ごしていました。この展覧会は展示室すべてを使って新作を作るというイメージだったので、いつ再開できるか分からない状況で、モチベーションや集中力が切れてしまわないよう、内藤さんともコミュニケーションをとり続けながら、延期になったことのケアを中心に考えていました。

 ――コロナ禍における課題として、集客の問題があります。積極的に人を集められない中、展覧会はどうあるべきなのでしょう。

 21美・横山 観光客も多い当館は繁忙期以外も来場者が非常に多く、休日にはチケット購入に最低でも30~40分、長い時は1時間半の列ができる。コロナ対策としては日時指定の入場制にするしかないだろうということで準備を進めています。内藤展については展示の特性上、もともと日時指定を導入しており、人数を絞る分、ある程度の収入を確保するためにチケット単価を従来の企画展より若干高い金額に設定しました。当館の場合、予算に観覧料金を含んでいるため、積極的に集客できないのは死活問題です。

 和歌山近美・青木 当館は無料入館者の枠が広く、もともと歳入の中で入館料収入の占める割合は低いです。

 兵庫県美・小林 兵庫県美は入館料収入に頼っている部分は大きいけれど、21美ほどの厳しさはない。今後しばらくは、来館者やスタッフの健康を考えた…

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清水有香

2006年入社。和歌山支局、編集制作センターを経て13年から大阪本社学芸部。主に美術・ファッションを担当し、育休より復帰後の20年からは文芸・宝塚を中心に取材。ほかに音楽、映画、建築など幅広く関心がある。

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