新型コロナウイルス感染が世界中に拡大する中で、日本を含むアジア地域で報告されている感染による死者の割合は、今のところ欧米各国に比べて少ない。米紙ワシントン・ポストが「新型コロナのミステリーの一つ」として検証記事を組むなど、世界的に注目を集めているが、差をもたらす背景には何があるのだろうか。【岩崎歩、柳楽未来、小川祐希】
新型コロナウイルスの死者数は、地域で大きな違いがある。英オックスフォード大の研究者らが公表している「Our World in Data」によると、欧米では、人口100万人あたりの死者数が100人を超える国が少なくない(6日現在)。最も多いのは英国で593.1人。欧州の中では比較的少ないドイツでも103.2人だ。米国では3月以降感染者が爆発的に増え、329.7人に上る。
一方、アジア各国・地域はこれらの国と比べて2桁も少ない。比較的多い日本でも7.2人。韓国は5.3人、台湾にいたっては0.3人に抑えている。
中でも、日本で死者数が少ないことは、海外メディアには特に不思議に映るようだ。ワシントン・ポスト(電子版)は5月28日、研究者の注目を集めるこの「ミステリー」を検証する記事を掲載した。「アジアでは、重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)の経験が、新しい脅威に対して素早く反応することを可能にした」と評価。一方、韓国のようにPCR検査を大量には実施していなかった日本で死者数が少ないことについては「多くの科学者が困惑している」と指摘した。
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は5月29日付の記事で日本のPCR検査数が先進各国より少ないことに言及。「感染の広がりを見えなくし、感染爆発と医療崩壊を招くと専門家は危惧したが、それは起きなかった」と驚きを示した。
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