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山は博物館

片脚失った「鉄脚部隊」 富士登山で「再起奉公」誇示 /山梨

義足で富士山を登る「鉄脚部隊」。「真夏の陽に映えた青空へくっきり勇士の姿が浮かび上がった」=1939年9月の国際写真新聞より

 消耗戦となった日中戦争で、片脚を失った「鉄脚部隊」13人が1939年8月、富士山(3776メートル)に登った。「鉄脚」とは義足のことだ。再び戦地に行けなくとも、標高日本一の山で体力と気力に自信をつけ、国のため各職場で「再起奉公」するだけの能力があることを誇示した。それだけの事情がそこにあった。

 参加者は学校や研究所、工場の勤務先がある東京や九州から集合。静岡県の富士宮口から3日目に頂上に立った。政府のプロパガンダ誌「写真週報」は、ズボンの裾をまくり上げて金属棒の鉄脚をあらわにし、「国威宣揚」の旗を先頭につえをつきながら登る様子を掲載。多数の新聞や雑誌も「壮挙」などと取り上げた。

 「産業戦線に再起している勇士は、鉄脚鍛錬と皇軍の武運長久を祈願するため山頂に到達した」。雑誌「家の光」はこんな書き出しで、山梨県の吉田口に下る途中、8合目の宿泊地で「燃えるがごとき意気を伝えるため」開いた座談会を紹介。歩兵軍曹は「私どもは(治療の中心施設だった)臨時東京第一陸軍病院で脚をいただいた。入院中眺める霊峰を登山して霊気に接し、更生の意気を示し、戦没戦友の冥福を祈りたいと念願していた。戦…

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