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異色のプロ集団「横浜グリッツ」 氷上の格闘技で目指す新しい働き方とは

今季からアジア・リーグに参戦する横浜グリッツの選手たち。プロ選手と仕事を両立するデュアルキャリアを実践する=横浜グリッツ提供

 アイスホッケーのアジア・リーグに今季から参戦する横浜初のプロチーム「横浜グリッツ」は、国内では珍しい働き方を実践している。全選手がチームとプロ契約した上で、協力企業で働く「デュアルキャリア」の推進だ。引退後の生活も見据えつつ競技にチャレンジする取り組みは、プロ選手の新たなモデルとして定着するか。【倉沢仁志】

 「氷上の格闘技」と呼ばれるアイスホッケーは、北米で盛んに行われている。競技人口は米国が約56万人、カナダでは約62万人もいるが、国内での普及は進んでいない。日本アイスホッケー連盟によると、2019年度の登録者数は1万8641人。国際アイスホッケー連盟が公表した世界の競技人口(約177万人)の1%程度にすぎない。

 「人気のある野球やサッカーに比べ、収入はどうしても低くなります。プロ選手と言いながら、年俸300万円台の選手が多いです」。北海道出身で大学まで競技経験のある横浜グリッツの臼井亮人代表(40)は、こう切り出した。

 プロとして現役生活を終えても指導者や解説者として活動できるのは、ほんの一握り。企業チームの選手が社員として会社に残ったとしても、新卒で入社した同世代とのキャリアの差は否めない。そんな引退後の生活への不安もあり、トップクラスの実力があっても高校や大学卒業後に競技を離れる選手は多いという。

 そうした状況を改善するためにデュアルキャリアの導入を考案した臼井代表は、「少しでも競技の裾野を広げたいという思いがありました。設立当初は周囲から『(選手と仕事の両立は)絶対できるわけがない』と言われました」と振り返る。雇用先を確保するために企業を回り、プロ選手と社員を兼ねることへの理解を求め、粘り強く交渉した。さらにアジア・リーグの遠征費など年間約2億5000万円とされるチーム運営費を工面するため、スポンサー探しにも奔走。20を超える企業から賛同を得て、今年2月にリーグへの加盟申請に踏み切った。

 19年5月に設立した横浜グリッツは、コーセー新横浜スケートセンター(横浜市港北区)を拠点に活動。22~35歳の11選手が登録している。アジア・リーグの栃木日光アイスバックスや東北フリーブレイズ、海外でプレーしていた選手もおり、顔ぶれはさまざまだ。

 川村一希選手(26)は明大卒業後、17年に単身で韓国に渡り、当時アジア・リーグに所属していたハイワンで2シーズンプレーした。しかし、練習内容が物足りなく、試合でも観客の盛り上がりに欠けると感じた。「韓国でプロとしてやっていくことに、どこか違和感がありました」。18~19年シーズン終了…

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倉沢仁志

毎日新聞東京本社運動部。1987年、長野県生まれ。2010年入社。高知、和歌山両支局を経て17年から東京運動部。レスリング、重量挙げなどを担当。高校時代には重量挙げで全国高校総体に出場したが、階級で10キロ以上軽い三宅宏実選手の記録には遠く及ばない。

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