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町田樹さんインタビュー

「タダでは起きない」コロナ時代のその先へ 研究者・町田樹が目指すもの㊦

インタビューに答える元フィギュアスケート選手の町田樹さん=東京都千代田区で2020年6月5日、内藤絵美撮影

 2014年ソチ冬季五輪フィギュアスケート男子日本代表の町田樹さん(30)は現役引退後、大学院の博士課程を修了した。その博士論文に書き下ろしを加えた著書「アーティスティック研究序説――フィギュアスケートを基軸とした創造と享受の文化論」(白水社刊、税込み5500円)を15日に出版する。初めての著作に込めた思いを聞いた。【聞き手・芳賀竜也】

 ――出版の狙いを教えてください。

 ◆フィギュアスケーターとして25年のキャリアを歩んできましたが、数々の問題、課題にぶち当たりました。例えば、リンクがどんどん閉鎖されて練習環境がなくなることや、摂食障害やその他の外的要因でドロップアウト(脱落)してしまうフィギュアスケーターをたくさん見ました。「フィギュアスケートはスポーツとアートの融合」とよく言われますが、一方で「スポーツかアートか分からない中途半端なもの」という批判にもさらされやすい。こうした問題を学術の力で解決したいと決意し、大学院に進学しました。

 音楽を体で表現するスポーツはたくさんあります。フィギュアスケート、新体操、アーティスティックスイミング、ダンススポーツなど。そういったスポーツを「アーティスティックスポーツ」と定義し、これからの時代、いかに発展できるかということを、学際的な観点から研究しました。学際的というのは、いろいろな研究分野をまたいで研究するということです。

 経済学の観点では、アーティスティックスポーツの市場を分析し、文化芸術分野にもたらす経済効果について明らかにしました。アーティスティックスポーツの優れた演技を芸術学の観点から分析し、芸術的な価値について考察しました。さらには、アーティスティックスポーツの演技映像を次世代にどのように継承していくかというアーカイブの方法論を、法学および組織論の観点から考案したり、アーティスティックスポーツの演技が舞踊作品と同じように、著作物になり得るのかということを著作権法学の観点から明らかにしたりしました。いろんな学問分野を横断してアーティスティックスポーツという身体運動文化を多角的に探究したのが、早大大学院での研究生活。その成果を、劇場文化と縁の深い出版社から、第1著作として世に送り出せることをうれしく思います。

 ――どんな方に読んでほしいですか。

 ◆さまざまな研究分野の方々です。そして、アーティスティックスポーツに関わる、あるいは関心を持つすべての方々にぜひ手に取ってほしい。野球やサッカーのようなスポーツに関する研究はたくさんあり、同時にバレエやダンスなど芸術の身体運動文化に関わる研究もたくさんあります。しかし、その中間に位置するアーティスティックスポーツについてはこれまで深く論…

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芳賀竜也

毎日新聞東京本社運動部副部長。1976年、北海道生まれ。2002年入社。北海道報道部を振り出しに東京運動部で水泳、フィギュアスケート、東京社会部で東京都庁を担当。東京パラリンピック取材班デスク。五輪・パラリンピックを夏季2回、冬季4回取材。初取材の06年トリノ冬季五輪では入国直後に迷子になり、気付くと中国チームの選手村にいた。

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