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日本文化をハザマで考える

第25回 日本語では、「愛している」と直接には言わずに

富士山頂に満月が沈む「パール富士」=千葉県富津市の富津岬で2013年2月26日午前5時46分、手塚耕一郎撮影

 10年以上も前に、京都のバーで初めて出会った人が私に言った。

 「小説家の漱石は日本語では、直接『愛しているとは言わずに、月がきれいですねと言う』と言ったんですが、ご存じでしたか?」

 私はこの話を聞いたことがなかったが、日本ではよく知られているようだ。

 私は気がつかなかったが、この話は、漱石の作品の中に埋もれているのだろうか?

 この話は、漱石が書いたものではなく、1970年代以前には、このエピソードについて書かれた記録さえなかったが、その頃までにはすでに広く信じられていたようだ。それによると、漱石が英語教師をしていた時、生徒が「I love you」を「我君を愛す」と直訳したのを訂正して、漱石が「いやいや、それは正しい訳ではありませんよ。日本文化では微妙にほのめかすことが尊ばれるのですから、『月がきれいですね』ぐらいな…

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ダミアン・フラナガン

ダミアン・フラナガン(Damian Flanagan) 1969年英国生まれ。作家・評論家。ケンブリッジ大在学中の89~90年、東京と京都に留学。93~99年に神戸大で研究活動。日本文学の修士課程、博士課程を経て、2000年に博士号取得。現在、兵庫県西宮市とマンチェスターに住まいを持って著作活動している。著書に「世界文学のスーパースター夏目漱石」。

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