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今週の気持ち

今週の気持ちは「父の勲章」

 「女・男の気持ち」(2020年6月4~10日、東京・大阪・西部3本社版計21本)から選んだ「今週の気持ち」は、東京本社版6月5日掲載の投稿です。

  ◆  ◆

<今週の気持ち>

父の勲章 さいたま市西区・池田博美さん(パート・53歳)

 昨年、父が82歳で逝き、父がいない初めての父の日を過ごした。当日、主人と2人で近所の回転ずし店に行き、父と同じ年ごろの男性がうれしそうにすしをほおばる姿を見て、思い出して涙が出た。

 大工と農業をして、父母は4人の子どもを大学、短大まで出してくれた。暮らしはいつもカツカツで、鹿児島の最南端の島は暑かった。大工仕事をする父の白い肌着は汗でびっしょりになり、太陽に照らされて乾く。またびっしょりになり、また乾き……。洗濯しても、父の肌着はいつも黄ばんでいた。

 あれは、私が小学5年生ごろのことだった。学校からの帰り道、仕事をしている父を見かけた。父は屋根の上から私を見つけ、「よっ」とばかりに片手を上げた。父と目が合った。「父ちゃんだ」

 だが、私は無視して父にあいさつを返さなかった。父の姿を恥ずかしいと思った。頭に手ぬぐいを巻き、黄ばんだシャツを着て、屋根の上ではいつくばってくぎを打つ父の姿が、惨めに見えたのだ。

 今なら、わかる。あの肌着の黄ばみこそ、働く父の勲章だったと。父と呼べる人はもう、この世にいない。でも、父が背中で教えてくれた働く者の誇りは、私の中で重しになり、助けてくれるはずだ。

 父ちゃん。あのとき、手を振り返さなくてごめんね。本当はうれしかったよ。大工をしている父ちゃんは、すっごくかっこよかったよ。

  ◆  ◆

<担当記者より>

 池田さんの投稿を読んで、やはり父が大工だった担当記者も同じように感じていたことを思い出しました。

 いつも作業服に地下足袋姿で、授業参観にもその格好で現れる父のことを、なんだか恥ずかしく思っていました。スーツ姿にネクタイをした友達のお父さんがかっこよく見えて、うらやましかったものです。父の作った机で勉強し、父の作ったベッドで眠るのがどんなにぜいたくなことだったのか、大人になってやっと気付きました。その感謝の気持ちを伝えようにももう父がいないことも、池田さんと同じです。もうすぐ父の日。まだご存命の方は、しっかり今の気持ちを伝えてはいかがでしょうか。

 掲載後、「自分も同じだ」という読者の皆さんからの反響を、いくつかいただいています。うち1通は12日朝刊(東京本社版)でご紹介します。ほかは順次、こちらのコメント欄に書き込んでいく予定です。

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