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小さな発信、大きな魅力 個人出版物「ZINE」人気 コロナ禍の日常、旅の記録、ドラマ紹介…自由に表現

コロナ禍の中で発行されたZINEとデジタルリトルプレス(左上の『家を継ぎ接ぐ』はデジタル版を印刷したもの)=上村里花撮影

 <土曜カルチャー>

 米国発祥の個人的な出版物「ZINE」(ジン)がひそかな人気だ。3月には晶文社から『野中モモの「ZINE」小さなわたしのメディアを作る』も出版され、話題になった。コロナ禍の中、先の見えない日々を個人的に記録したZINEも発行されている。個人を起点とした「小さなメディア」ならではの視点と可能性に満ちた世界をのぞいた。

 ZINEは雑誌を意味する英語「MAGAZINE(マガジン)」が語源とされる。商業的な利益を目的とせず、個人や小さな団体が自主的に、小規模で作る出版物を指す。米国で1930年代にSF愛好家の間で作られたのが始まりとされ、愛好家(ファン)によるZINE「FANZINE(ファンジン)」と呼ばれた。70年代以降にはパンク文化と共に発展し、さらにパンクとフェミニズムが結び付いた90年代の「ライオット・ガール」運動はZINEによって広がった。このようにZINEは、インターネットが普及する以前、個人やサブカルチャーの担い手たちの発信や交流手段として広がってきた。そして、ネットが一般化し、SNS(会員制交流サイト)などで個人が自由に発信できるようになった現在では、ネットとは異なった、手から手に渡るような時間をかけた流通や顔の見えるコミュニケーションの在り方などが注目を集めている。

 日本でも2010年代前後からZINEのイベントが各地で始まった。九州では福岡市で11年から年1回の「10(テン)zine」(12年からは佐賀市でも開催)が、宮崎市では12年から「Zine it!」、長崎市では18年から「チョージン」が毎年、開かれている。いずれも有志による主催で、出展者を募り、ZINEと人との出合いの場を作っている。最近では、ZINEコーナーを設ける書店や専門店もあり、オンライン…

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上村里花

1998年入社。長崎支局を振り出しに、広島支局、益田通信部(島根)、久留米支局(福岡)などを経て、2019年春より西部本社報道部学芸グループ。記者1人、デスク1人の最小ユニットのため、担当は文芸、学術全般(文化財や歴史など含む)、演芸と幅広い。初任地で出合った落語にはまり、好きが高じて、2008年からは広島で個人で地域寄席「広島で生の落語を聴く会」(生らくご会)を主宰。江戸落語を中心に、浪曲や講談、活動写真弁士、スタンダップコメディなど幅広く「話芸」の魅力を伝えるため、生の舞台を提供。仕事では、初任地での被爆者との出会いから「核と人間」の問題をライフワークとする。06年から続く本紙連載「ヒバクシャ」企画には開始当初から携わり、「ズッコケ三人組」シリーズでおなじみの児童文学者、那須正幹さん(広島で被爆)を担当。

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