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社説

パワハラ防止法の施行 職場環境を見直す契機に

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 パワーハラスメント防止法が施行された。防止対策が大企業に義務付けられ、中小企業も2022年度から適用される。

 予防のための研修や、被害者が相談できる窓口の設置、相談への適正な対処、従業員への周知や啓発を講じなければならない。

 罰則はないが、対策を怠れば行政指導の対象となり、企業名を公表される場合がある。

 パワハラの具体例として防止法の指針の中では、厳しい叱責を繰り返し行う「精神的攻撃」や、職場で孤立させる「人間関係からの切り離し」などが示されている。

 パワハラの被害は深刻さを増している。18年度に全国の労働局などが受けた「いじめ・嫌がらせ」の相談件数は約8万2000件で、過去最多を記録した。

 厚生労働省の16年度の調査では、過去3年間にパワハラを受けたことがあると回答した人は3割を超えた。相談窓口は7割の企業が設置していたが、パワハラを受けた人のうち利用した人は1割にも及ばなかった。

 話した内容が職場に知られることを危惧したり、対応に不安を感じたりする人が少なくないからだろう。弁護士ら第三者を入れるなど、被害者の信頼を得る仕組みを考えるべきだ。

 防止法で保護されるべき労働者は正社員のほか、パート、契約社員なども含まれた。一方で就職活動中の学生やフリーランスらは外れた。悪質なクレームなどのカスタマーハラスメントへの対策も対象外だ。

 ただ、国際労働機関(ILO)が昨年採択したハラスメント禁止条約はすべての被害者を保護対象に含めている。日本政府も条約に賛成した。今後、防止法への追加を急ぐべきだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大で企業の経営が厳しくなると、立場の弱い人がパワハラの被害を受けやすい。一層の注意が必要だ。

 新型コロナの対策で在宅勤務が増えた。メールやオンライン会議は指示が一方的になる傾向がある。個別対話の機会を設けるなど、細心の注意を払いたい。

 パワハラのない職場を目指し、職場環境は不断に見直す必要がある。防止法の施行をその契機にしたい。

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