メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

アートの地平から

どんな過去を残すのか=住友文彦

アーツ前橋(前橋市)では、「オンライン・ライブラリ」として作家インタビューなど、ウェブで楽しめるさまざまなコンテンツを用意している

 世の中には変わるものと変わらないものがある。市場は価値を生むために変わり続け、自然の循環的な変化はゆっくりしている。今後、美術がどう変わるのかという議論は大変興味深いが、今回の感染症をまだ正確に把握できていない現在は、変わらないことに目を向けておこうと私は考えている。

 美術館は過去を貯蔵する場所なので「変わらないもの」だ。コロナ禍においても多くは「3密」を回避できるし、美術家の活動も止まらないだろう。人々が集まる熱狂とは別種の、距離を置いた表現や鑑賞の分野だということを実感している。例えば2014年に亡くなった河原温という美術家の作品は、社会的距離をとる3カ月の間、私の想像力を静かに刺激し続けた。彼は電報やはがきによって自分が朝起きた時間や「私はまだ生きている」という文章をひたすら送り続けたからだ。このように過去が現在を照らし出し、他者の表現によって自分の感じ方を確認できるのは美術の大きな特徴である。目の前の現在が膨張し続けて自分の感…

この記事は有料記事です。

残り638文字(全文1062文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 特権を問う 「Yナンバーに気をつけろ」沖縄移住の女性が体験した「基地の島」の現実とは?

  2. 大雨、岐阜で大きな被害 長良川鵜飼いの警備船2隻流出 9日も大雨の恐れ

  3. 「仁義を切ってきたのか」山尾氏入党、国民党内に警戒感 立憲も「合流協議」影響懸念

  4. IS研究第一人者ハシミ氏、殺害される 日本など海外メディアに数多くコメント

  5. 浅間山 小規模噴火の可能性 気象庁事務所「大きな噴石や火砕流に警戒を」

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです