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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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テレビの笑点の大喜利も今はリモート出演だが…

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 テレビの笑点の大喜利(おおぎり)も今はリモート出演だが、この「大喜利」、本来は寄席の最後に行われた出演者の余興をいった。最後なので「大切(おおぎり)」、これに縁起の良い文字をあてたのはもともと歌舞伎だった▲歌舞伎で「切」は終わりの場面を意味し、たとえば「切口(きりこう)上(じょう)」とは終演の口上(あいさつ)をいう。切り口上といえば、今はとりつくしまもない冷たく強引な物言いをいうが、そういう意味になったのも芝居での切口上のせいという▲その昔は芝居の途中でも日没になると、座主が出てきて「まず今日はこれぎり」と終演を宣言した。お客には有無を言わせず、さっさとお引き取り願ったわけである。仕方ないとはいえ、今の語意にはお客たちの不満が刻まれていよう▲時あたかもコロナ禍のさなか、これから感染第2波も国民生活もどうなるか分からない。何とこの場面で、あすは国会を閉じるという。野党は「#国会を止めるな」とネットで呼びかけるが、与党は「これぎり」との姿勢を崩さない▲聞けば与党でも当然視されていた国会延長は、検事長マージャンでの政権支持率急落で一転したそうな。思い返せば森友・加計(かけ)問題での支持率急落を国会閉会でしのいだ政権である。歴史的コロナ危機下でも打つ手は変わらなかった▲予備費10兆円のチェックはもちろん、感染防止と経済対策の執行状況の監視、何よりウィズコロナ時代の未来構想の論議が求められる今日である。追及逃れに言論の府を閉じる政府・与党の切り口上が情けない。

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