新型コロナウイルス感染症は、人間にも動物にも感染する「人獣共通感染症」==だ。人類は歴史上、動物から広がった未知のウイルスや細菌に何度も苦しめられてきた。喜田宏・北海道大人獣共通感染症リサーチセンター統括(76)に、新たな感染症が生じる背景や必要な対策を聞いた。【聞き手・渡辺諒、写真・安達恒太郎】
――人類は人獣共通感染症の脅威に何度もさらされてきましたが、これからも続くのでしょうか。
◆新型コロナウイルス感染症の渦中にありますが、近年では重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)、エボラ出血熱など新興、または再興の感染症が世界各地で発生しています。これらは、野生動物には被害を及ぼすことなく寄生するウイルスが、あるとき家畜や家きんに伝染し、そこから人間に感染が広がる人獣共通感染症です。
こうした感染ルートやウイルスの存在環境を踏まえると、根絶は無理であることを認めなければなりません。特に、近年の著しい地球環境の変化は、野生動物の生態系と行動圏をかき乱し、動物と人間の境界が消失しました。その結果、ウイルスが家畜や人に近づき、新たな感染症の多発を招いています。こうした傾向は続くでしょう。またグローバル化した経済や人の移動は感染を拡大させています。
――根絶できない病原体に対し、有効な手立てはあるのでしょうか。
◆先回り戦略です。新たな感染症を起こしうる病原体を野生動物から検出し、デー…
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