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社説

不確実性増す朝鮮半島 周辺国との連携欠かせぬ

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 韓国と北朝鮮による初の首脳会談から20年の節目を迎えた。

 北朝鮮はこの間、核・ミサイル開発を続け、事実上の核保有国になった。当初の期待は裏切られ、朝鮮半島情勢の不確実性はむしろ増している。

 北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記は当時、冷戦終結で孤立を深め、経済危機に苦しんでいた。そこに統一への強い関心を持ち続けた韓国の金大中(キムデジュン)大統領が働きかけた。

 会談後、韓国では南北対話を当たり前のものだと見る空気が定着した。一方で、経済的負担を懸念して統一への熱意は冷めた。近年の世論調査では「早く統一を」という回答は1~2割に過ぎない。

 文在寅(ムンジェイン)政権は北朝鮮との統一を将来の目標に先送りし、「平和共存」を政策として掲げる。世論を反映したものといえよう。

 2年前には、文政権が仲介する形で史上初の米朝首脳会談が実現した。非核化実現への期待も出たが、実質的な進展はないままだ。

 米国との交渉で制裁解除を引き出せなかった北朝鮮は苦境に追い込まれた。新型コロナウイルス対策として中露両国との国境をいち早く封鎖したことで、経済はさらに苦しくなったとみられる。

 北朝鮮は最近、脱北者団体による金正恩(キムジョンウン)体制批判のビラ散布を理由に韓国を非難し、南北連絡線を遮断した。対話を望む文政権を圧迫し、日米との連携にくさびを打ち込もうとしている。国民の不満をそらす思惑も垣間見える。

 それに対して文政権は表現の自由に反すると批判されながらも、ビラ禁止法を作ると表明した。先月には独自の対北朝鮮制裁の解除を示唆してもいた。

 文政権の残り任期は2年を切った。焦りがあるのだろうか。

 文政権には日米との連携でも不安が残る。昨年には、日米韓連携に重要な日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)まで外交的駆け引きの道具とした。

 金大中氏は20年前、統一問題への外国の干渉を排除しようという金正日氏に対し、日米中露という周辺大国から支持と協力を得ることが重要だと繰り返し説いた。

 幾多の試練を乗り越えてきた老練な政治家が見た国際社会の現実だ。その言葉の重みを改めて考えるべきである。

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