陸上イージス停止は河野氏の「独走」なのか 崩れる一枚岩政権と米国の怒りへの懸念
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河野太郎防衛相が15日発表した陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画停止に対し、与党内の反発が広がった。唐突な表明は政権の「迷走」を印象づけ、安全保障分野での日米協力への悪影響を懸念する声が出ている。
謝罪繰り返す河野氏、与党に事前相談なく不満相次ぐ
河野氏の表明を受け、自民党が16日午前に急きょ開いた国防部会・安全保障調査会合同会議。出席議員から河野氏への批判が続出した。
2017年12月に配備を決定した際の防衛相だった小野寺五典党安保調査会長は「北朝鮮の脅威は変わっておらず、日本の防衛は後退する」と批判。出席者からは「今後の説明がなく無責任」「閣議決定を変更する突然の発表。党との信頼関係に関わる」など事前に相談がなかったことへの不満が相次いだ。
政府はこれまでイージス・アショア計画について、8隻態勢となるイージス艦に加え、日本のミサイル防衛の「要」と位置づけてきた。計画停止は政府の安全保障政策の根幹を揺るがしかねないとの懸念が党内の動揺を誘った形だ。「山口、秋田に赴いて直接おわびをしたい」。河野氏はこの日の衆院安全保障委員会でひたすら謝罪の言葉を繰り返した。
停止の情報共有は首相、菅長官とごく少数の防衛省幹部
河野氏が配備停止を決めたのは、迎撃ミサイルの発射の際に切り離されるブースターを演習場内など安全な場所に確実に落下させられない「技術上の不備」が発覚し、高額なコストと期間がかかることから「合理的ではない」と判断したためだ。もともと行政改革などに精通し「コストカッター」として定評がある河野氏は6月4日、12日に安倍晋三首相に配備停止を直談判したという。複数の関係者によると、首相は当初は慎重だったが、河野氏は「迎撃ミサイル自体の改修も必要となり、このままでは2000億円超の費用と10年以上の期間がかかる」と説得した。
首相は16日、記者団に…
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