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舞台縦横ときどきナナメ

3密を回避した「濃密」な劇空間にゾクゾク 新ロイヤル大衆舎「怒濤」を劇場で観劇

「緊急事態軽演劇八夜」の一場面。左から、山内圭哉、大堀こういち、福田転球、長塚圭史 (c)aka Eva

 寄席に続いて、ようやく演劇も観客を入れた公演が始まった。もちろん、2月末から中止や延期が相次いだ演劇界は体力を奪われた瀕死(ひんし)の状態で、手放しで喜んでばかりはいられない。ライブと配信のハイブリッドなど、ウィズコロナ時代ならではの試みがどこまで奏功するか、気になるところだ。

 手帳を見ると、今年に入ってからの劇場での観劇本数は、4月3日に東京・下北沢のザ・スズナリで見たオフィスリバープロデュース「掃除屋」(水谷龍二作・演出)を最後に「96」本で止まったまま。再開の「97」本目が、再びスズナリからというのも何か因縁めいたものを感じる。6月11日から始まった新ロイヤル大衆舎「緊急事態軽演劇八夜」の第3夜「新作・おもてなし」(福田転球作、長塚圭史演出)の追加公演、翌日の第4夜「怒濤(どとう)」(森本薫作、長塚演出)を劇場で見た。「3密」を回避しながらの、「濃密」な劇空間にゾクゾクした。

 新ロイヤル大衆舎は、福田、大堀こういち、長塚、山内圭哉の4人で作る演劇ユニット。旗揚げの「王将」(北条秀司作)に続く3年ぶり2回目の公演として、当初は「富島松五郎伝」(森本脚色)、「麺麭(ぱん)屋文六の思案」(岸田国士作)など3本を予定していたが、コロナで延期に。代わりに企画したのが、日替わりの戯曲の読み語りをスズナリからライブ配信することだった。ところが、休業要請の緩和に伴い、急きょ、約30人の観客を入れることに。「おもてなし」は発売後7分で完売したというから驚きだ。

 コロナ時代にタイムリーな上演となったのが「怒濤」だ。感染症医学の発展に尽くした北里柴三郎の半生を描いた評伝劇で、第二次世界大戦中の1944(昭和19)年、文学座によって初演された。今回は4人で14人を演じ分けるという、読み語りならではの醍醐味(だいごみ)も加わった。

 小劇場における感染対策ガイドラインに基づき、客席は前後左右にたっぷり間隔を空けて配置。舞台上は、4人が横一列に並んで座り、飛沫(ひまつ)感染の防止策として、それぞれの間にはビニールの仕切り、客席との間には透明のアクリル板が設置されている。これが「新しい日常」の演劇スタイルなのかと思うと、ちょっと味気ない。

 ともあれ、始まってしまえば、そんなものはあっという間…

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濱田元子

1989年10月入社。大阪本社学芸部などを経て、2010年から東京本社学芸部。18年から論説委員兼務。担当分野は現代演劇と演芸。年間350本以上の舞台を鑑賞。毎日新聞東京本社夕刊で毎月第4木曜にコラム「日々是・感劇」を連載中。共著に「春風亭一之輔 落語のたくり帖」(自由国民社)。

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