新型コロナウイルスの脅威は、ライブハウスやコンサートホールを拠点とするミュージシャンの活動に深刻な影響を与えている。そんな中、ロックバンド「くるり」が未発表曲を集めたアルバム「thaw」を4月15日に配信。3月開始の全国ツアー中止決定からわずか1カ月という異例のスピードだった。「活動を止めないことが何より重要と判断した」とフロントマンの岸田繁さん(44)は胸の内を明かす。話題はコロナ禍以前の思いから音楽業界の未来にまで及んだ。【清水有香】
「何かに突き動かされるように作った。あいまいな記憶の中、無数にある音源を発掘していくスリリングな作業でした」。未発表曲配信の提案からリリースまでの1カ月を岸田さんはこう振り返る。作業のただ中、3月24日のくるり公式ブログには<できることをやる。>と書いた。「ポジティブにええこと言うてるふうですけど、当たり前ですよね。ずっとそう思ってやってるし、そこにたち戻って考えないと、この先どんな未来が訪れたとしても、らちが明かないなって思っていて」
音楽業界の「未来」は決して楽観できない。くるりが最初にライブを行った「ボックスホール」(京都市中京区)の閉店など、「3密」の条件がそろうライブハウスはいまだ苦境のさなかにある。「数カ月先なのか数年先なのか、もっと長いターンなのか分かりませんが、コロナ禍が終息を迎えたとしても失われた時間は戻らない。僕らのような職業音楽家がライブハウスで地方巡業して、人をぎゅうぎゅうに入れて、みたいな文化自体なくなってしまうかもしれない」。業界全体としては「『何で稼ぐか』から『どうやって助け合うか』になっていくといいと思うけど…
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2006年入社。和歌山支局、編集制作センターを経て13年から大阪本社学芸部。主に美術・ファッションを担当し、育休より復帰後の20年からは文芸・宝塚を中心に取材。ほかに音楽、映画、建築など幅広く関心がある。
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